【フロリダ州オーランド11日(日本時間12日)発】WWEのロウ大会が行われ、妊娠とロウ女子王座返上を発表したベッキー・リンチ(33)の婚約者で“マンデーナイト・メサイア”ことセス・ロリンズ(33)が、祝福ムードをぶち壊す謎の怪行動に出た。

 この日のロリンズはマーフィー(31)と組んでレイ・ミステリオ、アリスター・ブラック(34)組と激突。試合前にはミステリオから「おめでとう」と祝福されるも、まるで死人のような表情で反応はゼロ…。その異変はゴングが鳴っても続いた。

 ロリンズは抜け殻のようになってコーナーに立ち尽くし、虚空を見つめるのみ。相棒がピンチになってタッチを求めるも全く応じる様子はない。というか自分がどこにいるのかも分からないような虚脱状態に陥っている。

 7分が経過してもロリンズは微動だにせず、マーフィーは孤闘を強いられる。しびれを切らしたミステリオがコーナーの救世主にエルボーを見舞って場外に突き落とすや、まるで別人のように狂気の攻撃に転じたから驚きだ。ミステリオをリング下に引き落とし、顔面に強烈なストレートを見舞う。この時点で試合権のないロリンズの反則負けが告げられた。

 それでも凶行は止まらず、何とミステリオのマスクに手をかけ、両目をスチール製階段に押し付ける残虐行為に出た。すぐさまドクターとスタッフが駆けつけるも、大出血したミステリオはタオルで両目を押さえてうずくまるのみ。しかもロリンズは試合後、ミステリオの容態を気遣ってバックステージを訪れるなど、もう支離滅裂だ。

 前夜の「MITB」でWWE王者ドリュー・マッキンタイア(34)に敗れたショックが残っていたのか、あるいはベッキーの電撃発表に心が揺らいでいたのか、それとも他に大きな理由があるのか――皮肉にも救世主の怪行動が、婚約者妊娠の祝福ムードをブチ壊してしまった。

 また「MITB」女子ラダー戦で敗れた“スペードの女王”こと元NXT女子王者シェイナ・ベイズラー(39)は、王座譲渡劇に不満を爆発させた。インタビューを受けても「祝福するつもりはない」と吐き捨て、自分は蚊帳の外でライバルのベッキーが、アスカを王者と認めたことに不快感をあらわにした。

 大ベテランのナタリア(37)が不遜な態度を注意しても、聞く耳など持たない。直後のシングル戦ではニーストライク一撃でナタリアをKOしてしまった。今後は新王者アスカを執拗に狙うことは間違いなく、感動的だったベッキーの電撃発表は、WWEに新たな波乱を呼び込むかもしれない。

 またエンディングでは、祭典「レッスルマニア36」のラストマンスタンディングマッチで〝毒蛇〟ランディ・オートン(40)をKOした“R指定の男”エッジ(46)が、約1か月ぶりに登場。

「俺は毒蛇に勝った。だが祭典は俺にとってエンディングではない。前進し続けるしかないんだ」と現役続行を表明した。

 ここでオートンがリングイン。「おめでとう。祭典の君は素晴らしかった」とたたえるも「だが本当にベストなレスラーは俺だ。お前は『「ロイヤルランブル』で9年ぶりに復帰して、祭典では10カウントを奪って俺に勝った。だがいずれも本来のレスリングの形式とはかけ離れた試合だろ?」と一転して挑発を始めた。

 さらには「9年間の空白はまだ埋まっていない。もしお前にガッツがあるならば、純然たるレスリングの試合で戦おうじゃないか」と再戦を要求。決戦の場を次回PPV大会「バックラッシュ」(6月14日)に指定した。エッジは即答を避けたが、かつてのレイテッドRKOの遺恨劇は再燃確実となってきた。