ノアのGHCヘビー級王者・潮崎豪(38)が、前王者の清宮海斗(23)に“積極外交のススメ”だ。新日本プロレスの“レインメーカー”オカダ・カズチカ(32)との対戦を熱望するなど団体外に意識を向け始めた若きライバルの姿勢を後押しし、さらなる進化を促した。

 王者の潮崎が急性虫垂炎で欠場中、ノアマットの中心になったのは皮肉にも前王者の清宮だった。5月24日放送回では「レインメーカーをこの体で体感したい」と業界トップに君臨するオカダとの対戦希望を口に。その後も元W―1チャンピオンシップ王者・稲葉大樹(32)と“視殺戦”を展開すれば、かねて対戦を希望する“プロレスリングマスター”武藤敬司(57)との初対決が14日放送回の6人タッグ戦で実現するなど、話題を振りまいている。

 業界でも注目を集めた清宮の「レインメーカー発言」について潮崎は「いいと思いますよ。発言は自由だから。発言のケツを拭くのは自分自身。言ったからには、しっかりと実現に向けて動いてほしい」と語る。外よりも団体内の活性化を優先させるべきとの見方もあるが、「アイ・アム・ノア」を標榜する王者の見解は違う。

「外の選手と触れると、確実に自分の糧になりますから。俺自身も『ALL TOGETHER』とか海外だったりを経験して成長したんで。将来、外を経験した清宮と向かい合えば、より面白い防衛戦ができるはず。それはノアのためになる」

 10年前の2010年6月19日、潮崎は新日本プロレス大阪大会に乗り込み、真壁刀義のIWGPヘビー級王座に挑戦した。翌11年8月27日、東京スポーツ新聞社主催の東日本大震災復興支援チャリティー大会「ALL TOGETHER」(日本武道館)では、新日プロの棚橋弘至、全日本プロレス諏訪魔と、3大王者としてメインのリングに立った。その経験があるからこそ、将来を嘱望される清宮にも他団体勢と対戦することの重要性を訴える。

 もちろんライバルの進化を受け止めるには、自身も長期政権を築く必要がある。齋藤彰俊とのV2戦が放送される14日は、09年に死去した三沢光晴さん(享年46)の命日の翌日。11年前に潮崎は三沢さんのパートナーとして、齋藤は対戦相手として最後のリングに上がった。「その日に俺たちが戦うのは運命。ファンにも、天国にも伝わる試合をしなきゃいけない」。師匠のため、そしてライバルのために、必勝の十字架を背負って決戦の舞台に立つ。