手負いの天才が不退転の決意を固めた。腰椎椎間板ヘルニアのため欠場していたノアの丸藤正道(39)が、28日の東京・後楽園ホール大会で復帰。半年間で2度の欠場を余儀なくされた厳しい現状を明かしつつも、いち早く新リーグ戦「N―1 VICTORY」(8月18日、名古屋で開幕)出場と優勝を宣言した。

 4日の後楽園大会を最後に3大会を欠場した丸藤は「持病とはいえ、最近で一番きつかった。5日間ベッドで動けなかった…」と沈痛な表情で振り返った。

 昨年11月のグローバルリーグ戦では優勝決定戦まで駒を進めながら、左大腿筋断裂と左肩挫傷で戦線を離脱。今年2月に復帰したばかりだった。キャリア21年の中でも、短期間で2度の復帰戦は経験がない。

「満身創痍のはるか上ですよ。もうボロボロ。ケガと闘いながら続けるしかない。完治なんて永遠にあり得ない。カンチは『東京ラブストーリー』だけ」と師匠の三沢光晴さん(享年46)を思い起こさせるギャグを交えて説明した。

 それでも「新生ノアを頂上に導くまでは辞められない」と決意を固めた直後だ。「新しいリーグ戦はまだ出場者が決まってないけど、俺が一番最初に正式に出場を表明します。『N―1』のNは正道(なおみち)のNだと思ってるし。歴史に名を残したい」と断言した。

 奮起せざるを得ない理由もある。31日で49歳になる杉浦貴の存在だ。6月9日の後楽園大会では史上最年少のGHCヘビー級王者・清宮海斗(22)に、最年長戴冠記録更新をかけて挑戦する。

「杉浦貴の圧勝でしょう。50歳目前のおっさんが過去最高のコンディションをキープしている。あんな選手、見たことない。わずか1シリーズでお客さんまで全員、味方にしちゃった。負ける要素ゼロでしょ」

 ノアで一番勢いがある戦友に刺激を受けるように「世代交代したつもりの清宮は今、とてつもない脅威を感じていると思う。俺がリーグ戦で優勝して、新王者に挑戦します。そうなれば前半のマイナスはプラスに転じるでしょ」と見据えた。

 6人タッグの復帰戦では小峠篤司(33)に虎王(二段式ヒザ蹴り)を決め、自軍の勝利をアシスト。試合後は「(腰は)問題なし!」と力強く語った。天才の逆襲が始まる。