お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さん(享年61)が11日に急死したことが明らかとなり、プロレス界は深い悲しみに包まれている。

 1990年代から全日本プロレスの会場を頻繁に訪れた上島さんは故三沢光晴さん、川田利明らの「四天王」と交流があった。酒席をともにしたことがある秋山準(52)は「威張ることもないし気さくな方だった。テレビで見たままの優しい人でした」と振り返る。

 89年にFMWを旗揚げした邪道・大仁田厚(64)とテレビ番組で初対面したのもこのころだ。程なくして上島さんから「ものまねをやりますから」との話があり、大仁田も快諾。タンクトップに青いショートタイツ、額に湿布を張った上島さんがまねる「邪道」がお茶の間に広まった。

 大仁田は「うれしかったよね。あれで俺の名前も広まったし、バラエティーで活躍していたから、俺も頑張ろうって思ったから」。上島さんのプロ意識を垣間見たのが、バラエティー番組で一緒になった時だ。

 本人の目の前で大仁田のものまねを披露した上島さんは、口に含んだ水を吹きかける〝聖水〟のパフォーマンスまで披露。ところが、本家と違い口から水がちょろちょろと滴り落ちるだけだった。大仁田は即座に「下手くそ!」と番組内で引っぱたいたが、「相手が突っ込みやすいようにしてくれたんだよ。だからみんなに好かれるんだろうな。後輩たちから慕われたのも、そういうところだと思う」と感心したという。その上で「プロレスを世間に広めてくれたよね。感謝の気持ちでいっぱいだよ」と語った。

 上島さんは実際にリングに立ったこともある。2007年6月10日の「武藤祭」では〝プロレスリングマスター〟武藤敬司(59)とのタッグ対決が実現。レスラーとお笑い芸人による「F―1タッグ」王座戦だった。武藤は「リング上で芸も披露していただいて、大変盛り上がったのがいい思い出です」としつつ「実は自分の中でF―1タッグを再びやりたいという夢を持っていて、ご縁があればと思っておりました。非常に残念です」と哀悼の意を表した。