ボランティアレスラーの邪道・大仁田厚(62)が、新型コロナウイルス禍のさなかにコーヒーソムリエに“転身”した。東南アジアのラオスでコーヒー農園を束ねるなど、実業家としても辣腕を発揮。プロレスではストリートファイトの新ブランドを立ち上げ、活発に動いている。


 大仁田が新ジャンルで才覚を発揮している。きっかけは今年初め、ラオスに住む知人の紹介で現地のコーヒー農園を視察したことだ。「大きい農園は大企業が押さえているんだけど、小さいところは押さえられてなくてさ。そこを俺がまとめたんだ。インディ団体をまとめた感じだよ」

 ここから“コーヒー実業家”への道が始まった。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあったが、可能な範囲で準備を開始。2018年4月の市長選に立候補し、落選後も拠点とする佐賀・神埼市の山中に焙煎や袋詰めをする工場を建設した。「俺は地域貢献も目指している。だから高齢者や障害者の方々に働いてもらえる工場を建てた。ラオスの経済発展と神埼市の町おこしに貢献したいんじゃ」と説明する。

 並行してコーヒーソムリエの資格も取得。目玉商品は超高級コーヒーとされるコピ・ルアクだ。ジャコウネコにコーヒーの実を食べさせ、フンとともに排せつされた豆を洗浄して使う。「焙煎時間が1分1秒違うだけで全く味が変わる。でも俺は火を扱うのは得意だから。ジャコウネコはインドネシアが本場だけど、ラオスのも驚くほどおいしい」とPRにも余念がない。コロナの影響でコピ・ルアクの輸入は遅れているものの、他のコーヒー豆はすでに通信販売を開始。地元の有力者ともコミュニケーションを取りながら徐々に販路を拡大するつもりで「目指すは年商5億!」とぶち上げた。

 そんな邪道は、もはやどちらが本業か分からないリングでも活動を再開する。「ストリートファイトクラブ」という新ブランドを立ち上げ、8月25日に東京・後楽園ホール大会を開催。有人興行は場外乱闘が禁止されるなど制約があるが「ウィズコロナ時代の新しいストリートファイトをつくる」と誓う。客席の一部に「場外乱闘スペース」を設置したり、次亜塩素酸水を使った“聖水”散布ができないか模索中だ。

「俺はこれから、電流爆破とストリートファイトの歴史をもう一度つくる。一緒にやりたい人間がいれば名乗り出てこい!」。何かと話題を振りまく邪道から今後も目が離せない。