オールスター第1戦(ペイペイ)が26日に行われ、グラウンド内外で西武・山川穂高内野手(30)が球場に訪れたファンやテレビ観戦した視聴者の視線を独り占めした。

 球界を代表する〝陽キャ〟の山川がバットで、トークで、フリップ、ピコピコハンマーで3年ぶりに観客制限なしで行われた球宴を盛り上げた。

 全パの「4番」に指名されながら、試合前のインタビューでは「(球宴は)休み、休憩です。普段、この雰囲気の中でなかなかやることがないので。普段は真剣勝負なんですけど、いろんな選手といろんな話をしたり、技術の話をしたり、どうしてる? と聞くのは楽しい。おしゃべりをいっぱいしたいし、野球はほどほどに、野球以外のところで目立てるように頑張ります」と宣言。野球よりもライバル球団の選手との〝積極外交〟に力点を置いた。

 ベンチでは柳田(ソフトバンク)、佐々木朗、松川(ロッテ)ら、周囲にいる選手と常にコミュニケーションを取り続け「松川君、かわいくないですか? あの肉感はめちゃくちゃ好きです」などとお気に入りの18歳捕手との交流にニヤリ。凡退した打席では一塁ベース上で全セの一塁手・ビシエド(中日)とミスショットの渋面で相手の笑顔を引き出しながら感情表現。リーグや球団の垣根を取っ払い、あらゆる場面で〝全方位外交〟を繰り広げた。

 当初の目的通り「佐々木朗希君(ロッテ)としゃべったことがない。あいみょんが好きだというので、その話からいろいろ聞けたらいい」と共通の話題を突破口に164キロ右腕への接近にも成功した。試合の合間にカメラ前に連れ出し「白井球審と仲直りして! あーい」と達筆でしたためたフリップを差し出し、自ら持参したピコピコハンマーで令和の怪物の頭を叩きながら反省をうながした。

 これも山川なりの考えがあってのことだった。現場にとってはシビアな審判の判定問題に笑いをまぶし、前半戦最大級の「陰」なトピックを「陽」に変換してみせた。全セ先発の青柳から放った豪快な一発を含む2安打で敢闘選手賞に選ばれるなど、しっかりプレーでも〝見せ場〟はつくった。

 試合後、山川は「今日のオールスターは過去の中でも一番楽しかったです。僕は高校時代に応援団長としてあのようなことをしていましたので、小道具も自分で調達しました。チームメートの反応もよかったです。みんな楽しんでくれました」と第1戦を総括した。

 勝負の世界では「感情を表に出して得をすることは何もない」というのが定石。しかし、それを超越して感情表現をし過ぎる山川スタイルには見ている者、周囲を明るくする「陽」の成分があふれ出ていた。