この男、やはり〝持っている〟――。9―1と大勝した12日の楽天戦で、阪神・佐藤輝明内野手(22)が16号弾を含む猛打賞の活躍で、交流戦4年ぶりの勝ち越しとチームの5連勝に貢献した。

 この日は初対決で、ともに同じ「ももいろクローバーZ」の登場曲を使用する〝モノノフ〟田中将との対決。さらに前日から、宮城で暮らす父方の祖父母である勲さん、美恵子さんが応援に駆けつけたなかでの一戦だった。本人も意気上がり〝佐藤家〟にとってもメモリアルな一日にしてみせた。

 2―1と1点リードの6回二死。田中将が投じた内角の低めの135キロスライダーをすくい上げ、右翼席へ16号ソロ。

「日本を代表する投手ですし、そのなかで自分の強いスイングをして、どれだけできるのかと思っていた。素直にうれしいです」と一塁ベンチ前で満面の笑みで「Z」の決めポーズを繰り出した。

「野球」を始めるきっかけをつくり、小学生のときには、一緒に楽天戦を観戦したこの球場で放った放物線。一塁側内野スタンドから見守っていた勲さんも「(野球を)教えたかいがありました」としみじみ語り、アーチを含む猛打賞の活躍を見せた孫の姿を、美恵子さんとともに喜んだ。

 前日には「本塁打を打つ姿を見せることができたら…」と話していた佐藤輝も〝公約実現〟に「祖父母の前でホームランを打つことができて本当にうれしい」と胸を張った。

 一塁ベンチ前で受けたヒーローインタビュー。佐藤輝の視線の先には、勝利に湧き上がる虎党と、頼もしすぎる我が孫の姿に〝大感激〟の祖父母の姿…。ドラマのワンシーン⁉ かと思うほど、佐藤家にとってはドラマチックでメモリアルな一日となった。