阪神は18日のヤクルト戦(甲子園)に3―14で大敗。投打ともに精彩を欠く内容で、ここまで6勝0敗1分けと、大のお得意様にしてきたツバメ軍団に、今季初黒星を喫した。

 今季ワーストの14失点と散々な負け戦だったが、前向きな要素もあった。この日の試合前まで、球団の新外国人としては最長となるデビュー20打席連続無安打だったメル・ロハス・ジュニア外野手(30)が、5回の第2打席で来日初安打となる1号ソロをマーク。バックスクリーン左へ豪快に叩き込む会心の一撃で気分も軽くなったのか、続く6回二死一、二塁の第3打席でも中前への適時打。背番号24も試合後「少しホッとした。(打撃の)タイミングも合ってきたのでいい流れだと思う」と安堵の表情を見せた。

 各方面からの〝必死のケア態勢〟がロハスの復調につながったのかもしれない。矢野監督をはじめとした首脳陣は連日、試合前練習などでロハスに密着指導。快音に恵まれぬ中、辛抱強くスタメン起用を続けた。韓国球界在籍時代からの盟友・サンズも、常に背番号24の横に寄り添いながら悩めるチームメートを支えた。

 矢野政権元年の2019年、阪神は得点能力不足打開を期し、ヤンガービス・ソラーテ内野手をシーズン途中で獲得。だが、度々たらい回しにされた守備位置や外国人枠をめぐる起用方針の問題で首脳陣と衝突し、前代未聞の「一軍昇格拒否事件」を引き起こし、シーズン途中での契約解除へ至ってしまった〝トラウマ〟がある。球団幹部も「あのような事態を二度と引き起こさないため、今後は外国人選手とのコミュニケーションをもっと密にしなければ」と語っていたが、まさにその〝反省〟が生かされた格好だ。

 矢野監督も新大砲候補について「まだまだこんなもんじゃないと思う」とさらなる打棒上昇に期待を寄せる。長い長いトンネルを抜け出したロハスの今後にも注目したい。