名手、そして「名酒」になれるか。阪神のドラフト1位ルーキー・佐藤輝明内野手(21=近大)に異例のニンジンが用意された。

 4球団競合の末、タテジマに袖を通すことになった虎期待の長距離砲候補は、春季キャンプ中にここまで行われた実戦9試合で33打数14安打8打点2本塁打の大暴れ。球場に設置されたスコアボードの上をはるかに超える特大アーチを披露して周囲の度肝を抜く一方で、打率4割2分2厘と確実性の高さも証明。アマナンバーワンスラッガーの名に恥じぬ活躍で、視察に訪れた他球団スコアラーを連日震え上がらせている。

 そんな佐藤輝に熱視線を送るのがキャンプ地・沖縄で70年以上泡盛の製造、販売を行ってきた「比嘉酒造」。主力商品の「残波ホワイト」はフルーティーな深い味わいで、地元沖縄県民や観光客にも人気の一本だ。同社は「残波阪神タイガースボトル」を販売するなど猛虎との縁も深く、過去には新助っ人(当時)のエリック・キャンベル内野手やウィリン・ロサリオ内野手に「ホームラン1本を打つ度に泡盛1ケースプレゼント」などの後方支援を打ち出してきたが、キャンベルは虎通算1本塁打、ロサリオは8本塁打でチームを去ることに…。同企画は残念ながら“不発”に終わってしまった。

 飲食業界、観光業界が深刻なコロナ禍に見舞われる現在、比嘉酒造の担当者は「我が社の売り上げも大幅にダウンしています。そんな今だからこそ、タイガースには沖縄を勇気づけていただきたい」と今季も阪神のバックアップを約束。今回のターゲットは話題の黄金ルーキーだ。

 前出の担当者は「佐藤輝選手が公式戦で本塁打を打つごとに『残波ホワイト』などの泡盛一升瓶6本入りケースを球団にプレゼントさせていただきます。仮に40本塁打をマークしてくれれば合計240本ということになりますね」と笑顔。これならば優勝時のビールかけならぬ“泡盛かけ”も実現可能になる本数だ。さらに「同選手が入団時の目標として掲げてきた40―40(40発&40盗塁)を達成した暁には、本数限定でオリジナル泡盛『輝明』を製造します」と仰天プランも披露する。

 野球選手、しかも新人選手の名が冠された泡盛が世に放たれるとなれば、おそらくこれは前代未聞の大快挙。規格外ルーキーのために用意された規格外プランが実行されるか、目が離せない。