メジャー複数球団が、楽天に復帰した田中将大投手(32)の継続調査を行う動きを見せている。

 田中将は日本復帰後初実戦となった20日の日本ハム戦(練習試合=金武)で、2回打者10人に39球を投げ、中田の3ランを含む4安打3失点の試運転をした。

 21日は他の残留組投手とキャッチボール、ダッシュなど軽めの調整。「現状、打者に対して投げることが自分の中で大きなステップだと思っていた。それが出来てよかった」と前日の投球を振り返り次回登板に備えた。

 この田中将の実戦初登板には、国内6球団のスコアラーが偵察に訪れ「これからどんどん(状態が)上がってくると思う」(ロッテ・吉井スコアラー)と警戒を強めた一方で、メジャー各球団の駐在スカウトも動きを見せていた。

 楽天と2年契約を結びながら、話し合いによっては今季終了後にもメジャー復帰の可能性がある田中将に対し、複数球団が調査を進める方針だという。

 あるア・リーグ球団スカウトは「登板のたびにスカウティングリポートは送ることになると思う。彼の念頭にあるのはヤンキースへの復帰なのかもしれないが、彼の資産や住居は今もアメリカにあるはず。楽天の契約もおそらくドル払いで納税も米国だろうということを考えても、復帰先がニューヨークだけでなく、地方のスモールマーケット球団の可能性は出て来ると思う。何があってもいいように準備だけはしておく」と語った。

 またヤンキースに近いメジャー関係者は「ヤンキースは田中の投球に関して蓄積された多くのデータを持っている。NPBに復帰した今季の投球についてもスピンレート(回転数)を中心に多くのデータを継続的に収集していくことになるだろう」と古巣の動向に言及した。

 多くの球団が注目しているのはやはり近年、平均92マイル(約148キロ)程度に落ちた直球の威力とキレについて。田中将自身も「一番はストレート」と現在の課題を口にしているように、力のある直球があってこそのスプリット、スライダーだからだ。

「9億円の働きをするかどうかは分からないが、健康でさえあれば田中は一定の活躍をすると思う。加えて、彼の名前や存在感は大きい。彼がいることで組織にいろいろな作用も起きてくる。楽天本体に起こる影響も無視できない」(ナ・リーグ球団関係者)

 いずれにしても、田中の今季をメジャー各球団も注視している事実は間違いのないところだ。