【赤坂英一 赤ペン!!】楽天が4位に終わり、三木肇監督(43)の去就が微妙になっている。ここは契約通りもう1年、チャンスを与えるべきだろう。
「どんなに打てる打者でも7割は失敗する。その7割の凡打やアウトを、いかに得点に結びつけるかが重要。そういう意識を徹底させたいんです」
三木監督は開幕前からよくそう強調していた。例えば打者が送りバントと見せかけて空振りし、走者の盗塁を助けたり。守備では中前安打を打たれても、一塁走者を二塁封殺しようと極端な前進守備を敷いたり。そんな作戦の意図を問われると、こう答えている。
「周囲には極端なことをやってるように見えるかもしれないけど、僕自身は全然極端だとは思っていません。全てきちんと理由があって、根拠を持ってやってますから」
こういう独特な考えを持つ監督が、自分の野球をチームに浸透させるには時間がかかるものだ。あの野村克也さんですらヤクルトを優勝させるには3年かかっている。
そのノムさんも、ヤクルト監督時代には極端な作戦の練習をしていた。例えば一邪飛で三塁走者がタッチアップする練習である。「シーズン中に一度あるかないかという作戦だが、練習して意識付けしておくことが大事や」と、ID野球の名将は強調していたものだ。
三木監督はヤクルトでの選手時代、そんな野村監督の薫陶を受けて指導者に転身。真中監督時代の2015年には、作戦兼内野守備走塁コーチとして14年ぶりのリーグ優勝に貢献している。
この年は三木コーチの発案で試合前に走塁練習を実施。三木コーチ自ら投手役を務め、スタートと帰塁の反復練習を行っていた。当時ヤクルト選手によく言い聞かせていたのが「盗塁成功は勝機を引き寄せ、盗塁阻止は相手の戦意をくじく」という言葉だ。
これに大きな影響を受けたのが、この年初の盗塁王を含むトリプルスリーを達成した山田哲、正捕手・中村だった。
そのころ、三木コーチはこんな話をしていた。
「僕は選手を指導するよりも応援するつもりで話しています。もっとうまくなってほしいという気持ちを込めてね」
こういう姿勢が今季、楽天の新人・小深田を正遊撃手へと成長させることにつながった。そういう意味でも三木監督にはせめてもう1年、時間を与えてほしい。ノムさんもヤクルト監督1年目は5位だったのだ。
☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。












