「球団としては残留してほしいでしょうが、果たしてそうなるのか…」。ロッテ関係者の間からこんな声が漏れている。今年9月に交換トレードで巨人から電撃加入した澤村拓一投手(32)の去就のことだ。

 移籍当初は今季序盤の低迷もあり、新天地での活躍を疑問視されていた。ところが、ロッテ入りすると巨人時代とは別人のような働きぶりで好投を連発。今や勝ちゲームの8回を任され、チームに欠かせない存在になりつつある。

 澤村自身は19日の囲み取材でロッテ入り後の心境について言及。「(前の投手から)受け取ったバトンを(抑えの)益田につなげる役割に集中して毎日準備している。それに若い投手がいっぱいいますし。まだまだ僕自身『負けないぞ』という気持ちは強い」と新たなチームで充実した日々を送っていることを強調した。

 となれば、今月17日に海外FA権を取得したとはいえ澤村の「来季ロッテ残留」は既定路線と考えられそうだが、事はそれほど簡単ではない。今オフ、澤村の高年俸をロッテ側が払えるかどうか微妙だからだ。

 澤村の今季推定年俸は1億5400万円。この金額は外国人選手を除けば守護神・益田(推定2億円)に次ぐチーム2位にランクされる。いくら加入直後から大活躍しているとはいえ、ロッテでの実働はまだ2か月あまり。球団側は今後の活躍を加味しても新型コロナ禍による厳しい球団経営と他選手との年俸バランスを考えれば現状維持か減俸提示が妥当だろう。この条件をFA権を持つ本人が受け入れるのかどうかが鍵になる。チーム関係者は言う。

「澤村にとって、ロッテは中大の先輩で公私ともに慕う美馬がいるだけでなく、巨人ほど重圧がかからない環境のため居心地がいいはず。ただ、復活をアピールした以上、ある程度の評価もほしいと思う。ロッテとの交渉が決裂なら移籍の可能性もありますが、その辺りは本人の気持ち次第でしょうね」

 澤村は海外FA権取得後、球団を通じて「ファン、チームメート、スタッフ、球団の皆様に感謝をしています。チームが優勝争いをしていますので、今はそのことしか考えておりません」とコメントしていたが…。今後はチームの優勝争いと併せて澤村の去就にも注目が集まりそうだ。