節目の年を迎えた男の胸中は――。今年でプロ10年目を迎えた日本ハムの斎藤佑樹投手(32)。今季はここまで一軍昇格はなく、二軍戦でも中継ぎとして11試合に登板して1勝3敗、防御率6・57ともがき苦しむ日々が続いている。27日発売の「週刊文春」では「ハンカチ王子引退へ」との記事が掲載されるなど、その動向に大きな注目が集まっているが…。当の本人は引退を「完全否定」していることが分かった。

 過去2年、一軍での勝ち星から遠ざかっており、近年は主に中継ぎとして生き残りへの道を模索している斎藤。オフから新たに習得した変化球「名護カーブ」を武器に投球の幅を広げたが、課題とする制球にばらつきを見せ、今季は二軍戦で11試合、12回1/3を投げて15四死球と昨年を上回るペースで四球を与えてしまっている。一軍の中継ぎ陣も比較的安定した結果を残していることに加え、ファームでも若手投手が台頭し、一軍昇格への道のりは現状厳しいと言わざるを得ない。

 世間の注目度が高い斎藤の10年目シーズンということもあり、27日発売の「週刊文春」では「ハンカチ王子引退へ」との見出しで、引退の可能性について触れた記事が掲載された。引退後の選択肢の一つとして「キャスター転向か」とのくだりもあり、早くも、引退後の進路に焦点が当てられた。

 では、実際に本人はどう考えているのか。今回の文春報道を受け、斎藤は親しい関係者に「自分から引退するようなことは絶対にない」と引退を完全否定したことが分かった。

 この関係者によると「ここまで見捨てずにチームに残してくれたファイターズへは相当な感謝をしています。何とかして恩返しをしたい、というのが本人が今抱いている一番の思いのようです」とのことで、日本ハムに「いらない」と言われるまで、あがき続けるつもりでいるという。

 実際、斎藤は以前、本紙の取材に対して「野球人としての生き方」を明かしたことがあった。その中で野球選手として常に隣り合わせにある「戦力外」の存在についても言及。「(戦力外の可能性は)もちろんあると思います。もしそうなった場合でも、一人の野球人としてボロボロになるまで野球を続けたいです」と、現役へのこだわりを明かしていた。

 ということは、たとえ日本ハムから「いらない」と言われたとしても、国内他球団や独立リーグ、韓国や台湾などの海外球団でも野球を続けるのか。斎藤は「(海外球団でも)もちろん、どこでもオファーがある限り続けていきたいです。野球選手として限界まで投げ続けたいです」と、力強くその意思を語っていた。現役続行へのこだわりが強いことは確かだ。

 日本ハムに恩返しをし、プロ野球人生を最後までまっとうするためには、何が何でも結果を残す必要がある。今季は早くも折り返しの時期。一軍の戦力として招集がかかるよう、斎藤は二軍でがむしゃらに奮闘を続けていくしかない。

【二軍でまずまずの結果】斎藤は前回登板となった22日のイースタン・ヤクルト戦で1回無失点と好投。12日のロッテ戦では1回2/3を投げて1失点、12日の巨人戦では2/3回を無失点と、直近3試合の登板ではまずまずの結果を残している。8月の成績で限定すると中継ぎとして5試合に登板し、5回1/3を投げて防御率3・38。課題としている四球は2つに抑えているが、本塁打は2本許しており、収穫と課題を残した状態となっている。