まだ“あの傷”は癒えていないのか――。巨人球団公式の「インスタライブ Q&A」は元木大介ヘッドコーチ(48)と宮本和知投手チーフコーチ(56)が出演した17日でひとまず最終回を迎えた。Gナインはファンと直接、交流できる機会を歓迎してきた一方で個人での発信には依然として遠慮がちだ。そこには2年前のSNSを巡る騒動が影を落としている。

 好評を博した球団公式インスタライブでトリを飾ったのは元タレントコンビの元木、宮本両コーチだった。前回、単独ライブを行った田口麗斗投手(24)もお約束の“乱入”を見せ、約30分間の配信を盛り上げた。

 外出自粛中のファンのため4月26日に澤村、鍵谷による第1回で幕を開けた同ライブは8回目の今回が最終回。球団は昨年12月、ブランドコミュニケーション部を立ち上げるなど、SNSでの情報発信を積極的に行っている。

 日本ハム時代の2015年に始めた陽岱鋼や今年4月にスタートした石川ら、インスタグラムの個人アカウントを公開するGナインも増えてきた。だが、主力ナインは依然消極的でライブ配信中に石川から「インスタやりましょうよ」と持ちかけられた小林は「怖いから」と拒否。個人アカウントを公開している元木、宮本両コーチから勧められた田口も「ボクはいいです」と苦笑いだった。

 流行には敏感なはずの世代がなぜ…。球団スタッフが「これを機に主力が個人でインスタを始めるという話は聞かないですね。やっぱりあの騒動が影響しているのでは」と指摘するのが2年前のSNS上の不祥事だ。

 2018年6月、2選手が飲み会で裸になった動画を撮影。身内限定での公開だったが、外部に流出して球団から出場停止と罰金処分を受けた。8月に出場停止は解除されたが2選手とも同年オフに戦力外となった。

 直後に首脳陣、ナインに対し「SNS講習会」が開かれ、リスク管理の専門家から飲み会中は携帯をカバンにしまうなど細かく注意された。ジャイアンツ球場での窃盗により選手が逮捕されたことと合わせ、当時の老川オーナーが一連の不祥事の責任を取って辞任したことはGナインに生々しい記憶となっている。

 選手の本分はあくまでも野球。SNSでの発信にもともと興味がない選手も多く、一概には言えないが、個人での情報発信までにはもう少し慣れと時間が必要なようだ。