「なにわのアーチスト」の系譜を受け継いでくれ――。近鉄、ドジャースなどで活躍した名球会・中村紀洋氏(46)が、阪神・大山悠輔内野手(24)を自身の「後継者」に指名した。これまでもトークショーなどで「中村紀洋2世は誰か?」と問われると「阪神の大山選手ですね。潜在能力が非常に高い。まだまだ伸びしろがある」と話すなど、大きな期待を寄せている。

 ノリこと中村氏の代名詞は「フルスイング」。日米23年間のプロ生活で2106安打、404本塁打を積み上げた右のスラッガーだ。現時点の大山については「ホームランの数も本来の力からすれば少ないですね。まだ、バッティングが小さい。もっと振れますよ。今のままでは相手投手からすれば怖さがない。空振りでもファウルでも相手に恐怖を与えるような打者になってほしい」と辛口だが、それも期待の裏返しだ。

 大山との直接の接点はない。だが、大山は中村氏が野球理論をユーチューブ動画で解説するチャンネル「N`s method(エヌズ・メソッド)」を視聴し“打撃の参考書”としている。中村氏も大山の存在を意識しており「すべての打席を近くで見ているわけではないけど、見させてもらってますよ」とひそかにエールを送っている。

 今季の大山は開幕から4番に抜てきされたが、なかなか波に乗れずに106試合目で4番を外された。スタンドの虎党から容赦ないヤジを受けることもあった。そんな悔しさをバネに現在、秋季キャンプでは毎日早出練習に取り組み、矢野監督から「意識を高く持ってやってくれている」と評価されているが…。「ただ、オレらの求めるところはもっと高い」とも。

「見ててワクワクする、その人の打席が回ってくるのが楽しみな打者でいてほしい」と語る“ユーチューブの師匠”の言葉は、虎の若き4番に届くか。