巨人・原辰徳監督(61)が24日、東京・大手町の読売新聞本社を訪れ、山口寿一オーナー(62)にシーズン終了報告を行った。就任1年目の今季は5年ぶりのリーグ優勝を果たした一方、日本シリーズではソフトバンクに4連敗で敗退。コーチ人事、戦力整備などチーム強化が本格化するなか、例年にも増して“新顔”に対する身辺調査が厳格化されている。

 この日、原監督は山口オーナーに全日程終了の報告と来季に向けた話し合いを行い、帰り際には読売新聞グループ本社の渡辺恒雄代表取締役主筆とも顔を合わせて「また頑張ってくれー。昨日は飲み過ぎた」と声をかけられたという。


 もちろんオーナー報告では補強についての議題も上がった。「補強もすごく難しい状況だからね。簡単に名前は挙げられませんが、なかなか外国人が機能しなかった」

 日本人選手の第2次戦力外通告はなしで終了するものの、ビヤヌエバ、クック、ヤングマンとは来季の契約を結ばない方針だ。

 23日の終戦直後、山口オーナーは「一つも勝てず敗退した。球団としては、このままでいいというわけにはいかないと思っています。球団として来年に向けて取り組むことはいろいろあるように思います」と補強を示唆。一軍首脳陣に前ヤクルト一軍打撃コーチの石井琢朗氏の入閣や、FAではロッテ・鈴木大地内野手など新戦力の獲得調査を検討するが、今オフの球団サイドはこれまで以上に身辺調査に力を入れているという。

 きっかけは日本シリーズ直前のドタバタ騒動だ。開幕わずか3日前の16日に鈴木尚広前外野守備走塁コーチが「一身上の都合」を理由に電撃退団。チームは急きょコーチ陣を配置転換するなど、頂上決戦に臨むチームに大きな動揺が広がった。波紋を呼ぶことが明白だっただけに、現場からは「(女性スキャンダルが)週刊誌に載ると言っても、日本シリーズが終わるまで待てなかったのか」との声も上がった。

 ただ、球団関係者によると断固たる姿勢を崩さなかったのは山口オーナーだったといい「鈴木前コーチのプライベートのトラブルは初めてではなかった。今回の件でオーナーの堪忍袋の緒が切れてしまったようだ」。球団側が退団を了承した形だが、事実上の解雇に等しかった。

 こうしたグラウンド外のトラブルはいつだってチームの士気を下げるもの。別の関係者は「山口オーナーはコンプライアンスに人一倍厳しい人。今後、同じようなことが起きないように、これからチームに入れたい人の身辺調査がより厳しくなるでしょう」と断じた。 球団を挙げて補強には乗り出すが、調査自体はより緻密なものとなりそうだ。