エンゼルスの大谷翔平投手(27)への称賛が一夜明けた10日(日本時間11日)も止まらない。本拠地アナハイムで9日(同10日)に行われたレッドソックス戦に「2番・投手兼DH」で出場し、投げては7回を4安打1失点で4勝目、打者では5回に決勝の逆転12号2ラン。リアル二刀流の「ONE―MAN SHO TIME」で球団ワーストの連敗を14で止め、ネビン監督代行に初勝利をプレゼントした。まるで映画のような展開に全米メディアは騒然。賛辞のオンパレードだった。

 先発マウンドに上がった大谷は今季最速の101マイル(約162・5キロ)を記録するなどスピードでレッドソックス打線を押し込み、スプリット、スライダー、カーブ、カットボールで翻ろうした。

 6回二死一、二塁でコルデロを遊ゴロで仕留めるとガッツポーズ。7回二死でアラウスをスプリットで空振り三振を奪うと右拳を握りながら雄たけびを上げた。

 バットでは犠飛で1点を先制された直後の5回一死一塁で相手先発の右腕ピベッタの内角高めの92・1マイル(約148キロ)の直球を振り抜いて中堅席へ逆転2ランを叩き込んだ。ダイヤモンドを回る間に3度ガッツポーズを見せた。二刀流出場での一発は今季初で、決勝弾はメジャー移籍後初だった。6回にベラスケスが澤村から放った3ランがダメ押し弾となったが、大谷の投打の活躍で連敗を14で止めた。

 この活躍に米メディアは惜しみなく賛辞を贈った。地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」は「大谷の炎で連敗が消え去った」の見出しで「(14連敗中の)2週間半真っ逆さまに落ちていく彼らを止めるには、何か桁外れのもの、予想できないものが必要だと思われた。その2つ(大谷とベラスケス)は木曜日にようやく訪れた」と報じた。

 米大リーグ機構(MLB)公式サイトは「今日のMLBで、大谷翔平のようにチームを背負える能力をもつ人は他にいない、なぜなら今日のMLBで大谷翔平がやっていることをできる人がいないから」と絶賛。3回二死二塁でディバースから三振を奪った101マイルの直球は「彼のキャリアにおいて、三振を奪った最も速い球」と紹介した。

「FOXニュース」(電子版)は「なぜ彼がテレビで見逃せない存在なのかを見せつけた」と納得。米スポーツ専門局「ESPN」(電子版)は「大谷翔平の本塁打と素晴らしい投球がエンゼルスを目覚めさせた。トラウトは言った『翔平は、アンビリーバブルだった。いつものように』」と同僚トラウトのコメントを交えて、すごさを報じた。

 ようやく今月初勝利&初アーチ。昨季は2勝、打率3割9厘、13本塁打、23打点で自身初の月間MVPに輝いた。得意の6月。一気にギアを上げる。

 大谷の二刀流の活躍で敗れたレッドソックスの地元紙「ボストン・ヘラルド」(電子版)も完敗を認めた。「レッドソックスは先月、(本拠地)フェンウェイ・パークで7回無失点に抑えられ、29の空振りを喫した大谷に(リベンジする)チャンスだったが、大谷は再びレッドソックスを沈黙させた」と報じ、「7回1失点、空振りは18と素晴らしかった」と褒めた。

 また、レッドソックス戦を中継している「NESN」(電子版)はレッドソックスのコーラ監督の試合直後の談話を紹介した。「我々は彼にプレッシャーをかけようと試みたが、できなかった。ボストンでの彼は素晴らしかったし、今日も良かった。7回を投げ抜いて本塁打を打ったことは印象的だ」と脱帽。さらに「彼は世界最高のアスリート。なぜなら、マウンドでも打席でも、このレベルで戦うことができるのだから。本当に信じられない」と最大限に評価した。