愛媛県・弓削商船高専の「選択」 夏の甲子園が各地で代替大会開催する方向の中で…

2020年05月28日 16時30分

 高校野球の夏の全国大会とそれに伴う地方大会が中止となり、各都道府県の高野連では独自の代替大会を開催する方向で協議を進めている。すでに茨城、千葉、岡山、佐賀、長崎、沖縄などで開催が決定。福岡が中止を発表したが、多くの地域が開催に踏み切るとみられる。

 そんな中、8月開催を検討している愛媛ですでに代替大会の辞退を表明した学校がある。瀬戸内海に浮かぶ弓削島にある弓削商船高専だ。早くから8月末までの休校と部活動休止を決め、4月24日に愛媛県高野連に地方大会の辞退を届け出ていた。5月20日に日本高野連が全国大会と地方大会の中止を発表したことで「何とか3年生に花道を」との世論が高まっているが、今回もその判断に揺るぎはなかった。

 弓削島は高齢者が多く、医療施設が少ない。生徒の7割が寮生とあって現在は帰省し、オンライン授業を受けている状況だ。野球部の長井弘志顧問は「島内で対策していけるのかという問題があり、今後も(感染が)どうなるかわからない。関東の方にいる生徒もいる。島外から持ち込まれる可能性もあるし、島外に行っての試合参加も難しい。休校は学校として決めたことです」と環境面が不参加の大きな理由とした。

 16人いる部員には森瑛太郎監督から伝えられたが、うち8人の3年生に大きな動揺はなかったという。5年制の同校は低学年(高校野球チーム)とは別に高学年(高専チーム、部員18人)があり、そのまま野球を続けられるからだ。「3年生より、5年生の方がつらかったと思います。高専の全国大会(8月)にも出られなかったわけですから」(同顧問)。高専チームは昨年の四国大会を制した強豪だけに無念だろう。

 さらに今後、各地で行われる代替大会についても同顧問は「保護者も生徒もやりたい、出たいというでしょう。でもやめるべき時はやめるべき。大人の我々が責任を取ってそうすればいいと思うんです。死者が何百人も出ているわけですから」と付け加えた。3年生への救済措置が叫ばれる中で島の環境面、安全面を考え、いち早く休校と大会不参加を決めた。それもまた意味ある決断だろう。