巨人のドラフト1位ルーキー桜井俊貴投手(22)が25日、東大とのプロ・大学交流戦(東大球場)に先発し、6回をまさかの7失点(自責点4)。試合こそG三軍が12―8で乱打戦を制したが、東大を相手に「巨人のドラ1」が大炎上とはあまりにも衝撃的だ。この結果がもたらした影響はすさまじく、球団スカウト陣の責任を問う声まで飛び交う事態に陥っている。

 東大チームのスコアボードに、初回から目を疑うような数字が連続して並んだ。「2」「1」「3」「1」。7点を献上したのは、3月30日のプロ初登板で負った右ヒジのケガから一軍復帰を目指すドラ1ルーキーだった。

 味方の失策が絡んだ不運な失点もあったが、直球を各打者に的確にとらえられながら降板するまで毎回の11被安打。スタメンに立岡ら支配下選手5人を置いた打線の猛反撃で最後は突き放したが、相手先発はプロ注目左腕の宮台(3年)ではなく、右腕の山本。一時はリードを許す場面もあり、あわや伝統球団が“エース温存”の東大に敗北しかねない展開だった。

 屈辱的な結果にも「全体的に球が高かったことが、あれだけ打たれた原因。4か月投げられず、試合勘もあまり戻っていない」と首をひねりながら淡々と振り返った桜井。川相三軍監督は「学生相手なので、(状態が)良ければもう少し抑えられるかと思ったが…。140何キロを投げても打たれるということは、二軍の選手にも一軍の選手にも打たれるということ」とバッサリ。「キレを磨くとかコントロールをきっちりするとか、何か変えなきゃ。今日だけではないが、十分分かるはず。目的を持って努力して良くなってくれれば」と一層の成長を望んだ。

 ただ、右腕がどう言い訳しようとも、何しろ相手は東大だ。ドラ1右腕の大乱調は、この日の広島戦を控えた試合前の東京ドームにも瞬く間に広まった。スタッフの一人は、まず結果に絶句。しばらくして「そろそろ上がってくるころかと思っていたけれど、東大打線に打たれるようでは…。監督だって(一軍で)試そうにも試しようがないでしょう」と頭を抱えた。

 問題は現場だけで収まらない。ある巨人OBは「桜井の調子とか状態とか、そういう次元の話じゃない。三軍とはいえ、プロなら六大学で1勝して騒がれる東大に勝って当たり前、0点に抑えて当然だ。ドラ1のルーキーが東大に7失点などあってはならないこと。スカウトは何をもって桜井を1位で獲ったのか。これはスカウト陣の責任問題だよ」と怒り心頭だった。

 桜井にしてみれば、単なる調整段階での1試合だったのかもしれないが…。盟主のプライドが傷ついた“事件”の波紋は、球団全体に広がっている。