第100回全国高校野球選手権大会は21日、決勝が行われ、大阪桐蔭(北大阪)が東北勢初の優勝を目指した金足農(秋田)を13―2で下し、史上初となる2度目の春夏連覇を達成した。西谷浩一監督(48)は甲子園春夏通算7度目の優勝で、PL学園・中村順司監督の6度を抜いて歴代単独トップに。全国のライバル校の突き上げを食らいながら、常勝軍団を築き上げる名将には人知れない苦悩があった。

 旋風を巻き起こしてきた金足農を完膚なきまでに叩きのめした。「最強世代」の象徴である根尾(3年)が今大会3号となる2ランを放てば、4番の藤原(3年)は猛打賞で2打点。打線が15安打の猛攻で相手エースの吉田(3年)を粉砕し、2失点完投の柿木(3年)を強力援護した。

 試合後の優勝監督インタビューで、西谷監督は「全員の思いがこもった優勝。本当にうれしい」と感慨に浸った。ドラフト候補が居並ぶ最強世代の現3年生が入部してすぐ、指揮官は「100回記念大会で必ず優勝するぞ!」と野望を共有してきた。あれから2年、有終の美を飾り、常勝軍団の戦いはこの先も続いていくが、その道は決して平坦ではない。

 今大会、大阪桐蔭のベンチ入りメンバー18人のうち、16人を3年生部員が占めた。下級生にレギュラーは不在。例年は新チームの顔になる下級生がいたが、今年は明らかに様子が違う。下級生部員の一人は「今大会のベンチ入りメンバーの構成を見ると、不安はあると思います。さらに、今年は3年生が最後(決勝)まで戦ったことで、新チームの本格始動は遅れています。智弁和歌山や東海大相模といった全国のライバルチームは、もう動きだしている。そこは指導者も僕らも焦りはあります」と、常勝継承に不安の色を隠せない。

 西谷監督は今大会に向けて主力の強化に心血を注ぐ一方で、スカウト活動も並行。独自の情報網で事前チェックしている有望中学生が、関西圏に遠征に来るたびに足しげく通った。監督と敏腕スカウトの二足のわらじによる苦労はハンパない。

 北大阪大会開幕前の6月、西谷監督は、ある3年生部員に「最近、寝れないんだよ。お前らのことや次の(世代の)ことを考えると、全然眠れないんだ」と漏らした。恵まれた戦力を有する故の“勝って当たり前”の重圧。弱音を決して吐かない指揮官が苦悩する姿は、部員を驚かせた。

 そんな苦しみを胸にしまい込み、西谷監督は優勝スピーチで「春の優勝旗も持っていますし、新しい大優勝旗も手にしましたので、もっともっとチームを強くして、これから、もっともっと大阪桐蔭を大きくしていきたいと思います」と高らかに宣言。「平成」をけん引してきた名将は、次の春、そして次なる101回目の夏にどんな手腕を見せてくれるのか。今から楽しみだ。