なんだか気分が重いし、何もしたくない…。この時期特有の五月病の症状に悩まされている人もいるのでは? 特に今年は長引くコロナ禍も重なり、ストレスがたまりやすいとあって注意が必要だ。そこで今回は「脳科学者が教える『ストレスフリー』な脳の習慣」(青春出版社刊)を著した医師・脳生理学者の有田秀穂氏(73)に、乗り切り方を教えてもらおう。
――五月病に悩まされる人が多い時期ですが、今年はどうでしょうか
有田秀穂氏(以下有田)まず五月病というのは正式な病名ではありません。進学、就職など新年度を迎えることで新しい環境に慣れるまでに感じるストレスを指します。従来ならば新しい環境に慣れていくことでストレスは軽減され、徐々に五月病は治っていくのが普通ですが、今はコロナ禍。大都市においても緊急事態宣言の影響で大型連休でも巣ごもりを強いられたため、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンがうまく分泌されずに、五月病が長引くのではないかと心配しています。
――キーになりそうなセロトニンについて詳しく教えてください
有田 セロトニンは脳内にある神経伝達物質であり、私たちの精神状態を健やかに保つという大事な役割を果たしています。ただこのセロトニンは「ストレスによって減る」「夜間睡眠中には分泌がなくなるから毎朝分泌を促さなければいけない」という特性があります。コロナ禍によって「コロナうつ」「コロナストレス」という言葉も日常的になってきましたが、これもセロトニンが関係していると思われます。自粛生活によって、誰ともつながらず、孤独な状態で家の中にジッとしていることでメンタルヘルスの問題を引き起こすと私は考えています。
――そうならないためにもセロトニンを増やさないといけないのですね。どうすればいいのでしょうか
有田 セロトニンを増やすには3つのポイントがあります。それは「太陽の光を浴び」「適度な運動を行い」「周囲の人と楽しく触れ合うこと」です。それぞれについて細かく見ていきましょう。まず太陽の光を浴びることに関してはセロトニン神経の活性化のためには2500ルクス以上の照度が必要であり、自宅の蛍光灯などは500ルクス程度ですから、太陽の光が必要になります。具体的には目の網膜に与えられた光の刺激が脳に伝わりセロトニン神経を活性化させます。これは何も外に出なくても、家の中で光を浴びても大丈夫です。時間は5~15分程度を目安としてください。
――適度な運動とはどの程度のものを指すのでしょうか
有田 この場合、マラソンやサッカー、テニスなどのような激しいスポーツをする必要はありません。リズム運動といって、一定のリズムで筋肉の緊張と弛緩を繰り返す運動を指します。多くの人が取り組みやすいのはウオーキングでしょうか。注意点としては、セロトニンを増やすための「適度な運動」はダイエットを目的としたカロリー消費のための運動とは違うこと。やりすぎは禁物のため、ご注意ください。またウオーキングにもコツがあります――。
☆ありた・ひでほ 医師。脳生理学者。1948年東京生まれ。東京大学医学部卒業後、東海大学病院で臨床、筑波大学基礎医学系で脳神経系の基礎研究に従事。「セロトニン研究」の第一人者であり、東京・上野でメンタルヘルスケアをマネジメントする「セロトニンDojo」の代表も務める。












