フランスで11~12日にかけてスーパー数百店舗がサイバー攻撃を受け、冷凍・冷蔵設備が異常に加熱される事件が発生した。パリ検察庁が捜査を始めた。仏紙ル・モンドなどが13日までに報じた。カルフール、インターマルシェ、コーペラティブUなどの冷蔵・冷凍設備を管理するソフトウエアが標的となり、その大半が製品寿命を迎えた旧型だった。

 犯人は冷蔵設備の制御システムに侵入し、温度を最大50度に設定。通常1時間の霜取り運転を8時間に延長した。一部店舗では設備が80度に達し、部品が溶けたほか、大量の食品が廃棄された。被害額が日本円にして推定数十億~百数十億円に上るチェーンもあるという。犯人の目的はまだ不明だが、冷凍・冷蔵設備の温度を異常に上昇させ、霜取り運転を長時間続けさせた手口から、食品の大量廃棄や設備の損傷を意図した可能性がある。食品流通の混乱を狙った破壊工作、ハッカーによる能力誇示、金銭目的の恐喝など、複数の動機が考えられる。

 サイバー事情通は「被害が出終わったので、犯人は金銭を要求できませんし、スペイン、ポルトガルなど他国でも被害が出ているそうです。そのため、フランスでは、社会を混乱させたいハッカー説、技術力を誇示したいハッカー説が出ています。後者は、大ニュースになるようなサイバー攻撃で自分たちの知名度を上げ、別のハッカー集団に技術を売り込んだり、別の攻撃に参加したりするんです」と指摘する。

 フランスで発生したスーパーの冷凍・冷蔵設備を狙った大規模サイバー攻撃は、日本にとっても人ごとではない。日本でも店舗設備の遠隔監視や集中管理が普及しており、同様の弱点があれば、食品の大量廃棄や営業停止を引き起こす恐れがある。

 今年7月には食品大手ニチレイがサイバー攻撃を受け、冷凍倉庫の入出庫業務が停止。スーパーや外食チェーンにも影響が及んだ。

「今回の事件で、サイバー攻撃というものが、従来の情報窃取やシステム停止にとどまらず、ネットを通じて現実の設備を操り、食品の大量廃棄や火災まで引き起こすことになりました。身近な生活インフラを狙った新たな脅威が浮き彫りになった形です」(同)

 対策は急務だ。