終盤戦に突入した横浜市長選(18日投開票)で、〝ハマのドン〟が動いた。パワハラ問題で辞職し、出直し選に臨んでいる山中竹春前市長の応援演説に〝ハマのドン・ジュニア〟が姿を見せ、山中氏が市長に返り咲けなかった場合には、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致が「100%再開される」と怪気炎を上げたのだ。
山中氏は告示日以降、街頭演説の予定を告知しない〝ステルス街宣〟を徹底していたが、3連休最後となった12日、ホリエモンこと堀江貴文氏の応援演説予定を突如、SNSに投稿。〝客寄せパンダ作戦〟もあり、桜木町駅前には多くの報道陣や聴衆が押し寄せた。
この演説会で堀江氏の前にマイクを握ったのが、〝ハマのドン〟こと横浜港ハーバーリゾート協会の藤木幸夫会長の長男で、横浜港運協会の藤木幸太会長だ。
振り返れば、横浜市長選は2021年にIRの誘致が争点となり、ハマのドンは反対を掲げた山中氏を支援し、当選に導いた。ハマを舞台にした〝仁義なき戦い〟は映画化もされ、IR議論は終結。今回の市長選に立候補している7人も全員、IR反対を訴え、争点にはなっていないように見えたが、裏事情は違うという。
藤木氏は「私のオヤジはカジノをストップさせるべく、体を張って動いた男。その長男がなんとかもう1回、(山中氏に)市長のイスに座ってもらいたいと思ってやっている。私は表はやっていない。全部裏だけです。しかし、もっと裏ばかりやっていた人間がたくさんいる。それは誰か。この人の腹心である副市長ですよ」と、4人いる副市長のうち1人の実名を挙げて、告発したのだ。
副市長らは頓挫したIR誘致を再び動かそうと画策しているといい「今回ハッキリ現れた。それにダマされてしまいそうな人が市民の皆さんです。本当に支えなきゃいけない人にこの人は裏切られた」と内情をぶちまけ、山中氏の後援会にも現職の自民党大物大臣による切り崩し工作があったことも明かした。
山中氏が当選しなかった場合は「明らかにカジノが再開します。私はここで100%約束します。絶対に再開します。その時に山中さんにしておけばよかったと、後悔しないようにしてください」とタンカを切った。
選挙戦は自民党、日本維新の会、国民民主党の県連組織が推薦する弁護士の原沢敦美氏が優位に立っている。IRについて原沢氏は「絶対にやらない」と反対の立場を再三、訴えている。
山中氏の応援に入った城南信用金庫元理事長の吉原毅氏は「個人ではやらないと言っても、応援団体が許してくれるでしょうか。今の政治は議論じゃなく、お金となし崩しでやってしまう」と原沢氏も市政を牛耳る一派に取り込まれかねないと警鐘を鳴らした。
演説会後、山中氏は副市長が自分を引きずり下ろそうと動いていたことに「ショックでした」とこぼした。一方、市長選に立候補している元衆院議員の中谷一馬氏は「市役所内の政局で起きた選挙じゃないかと懸念が出てきているが、私は一線を画したい。カジノ禁止条例を作ります」とIR議論を封じるための根本的な対策を提案した。
選挙には山中氏、原沢氏、中谷氏のほかに藤川祥子氏、福山敦士氏、山本理顕氏、浅賀由香氏が出馬している。争点化されていないIR問題に火をつけるハマのドン・ジュニアの告発は、選挙戦にどこまで影響するのか――。













