イラン戦争が拡大している。中東では今年2月、米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始して以降、イランが支援するレバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派なども戦闘に加わり、紛争が広がっている。最近ではフーシ派とサウジアラビアの戦闘が激化。米国がサウジ側の報復攻撃に加われば、戦火がさらに広がる恐れがある。
フーシ派は10日、サウジアラビアの首都リヤドにあるキング・ハリド国際空港をミサイルで攻撃した。サウジ当局によると、米国人1人を含む12人が死亡、309人が負傷した。同国では過去10年以上で最悪の攻撃被害となった。11日にも同空港が攻撃され、パキスタン人1人が死亡、11人が負傷。空港は閉鎖が続いている。
12日にはトルコ、パキスタン、エジプト、サウジアラビアの4か国が共同で攻撃を非難した。
一方、トランプ米大統領は10日、サウジアラビアによるフーシ派への報復攻撃に米軍が参加する可能性について記者団から問われ、「その可能性はある。検討する」と答えた。さらに「ひどいことだ。サウジアラビアは戦闘能力が高いが、今回の攻撃は本当にひどい」と非難した。
これまでトランプ氏は、イエメンを拠点とするフーシ派への新たな軍事攻撃を控えてきた。
米国事情通は「トランプ氏には、フーシ派が昨年5月に米国と結んだ停戦合意を順守し、紅海を航行する米国船舶への攻撃を控えているという認識がありました。また、イランとの戦争以前から続く複雑なイエメン紛争に、米国が深く巻き込まれることを避けたいという思惑もあります」と指摘する。
しかし、状況は変わりつつある。そもそも、なぜフーシ派はサウジアラビアの民間空港を繰り返し攻撃するのか。
フーシ派による空港攻撃の背景には、サウジアラビアが支援するイエメン政府軍の攻勢や、サウジ軍によるフーシ派支配地域への空爆があるとみられる。フーシ派には、サウジ国内の空港や石油施設などを攻撃することで、報復するとともに、サウジ側に軍事的・経済的な圧力をかける狙いがあると考えられる。
フーシ派はさらなる空港攻撃も警告している。米軍がフーシ派への本格的な軍事攻撃に踏み切れば、フーシ派による報復が激化し、紅海の商船や周辺国の重要施設が攻撃される恐れもある。世界の物流や原油輸送への影響も懸念される。
米国がイランだけでなくフーシ派とも本格的な戦争に突入すれば、戦火は中東各地に飛び火しかねない。民間人の犠牲が増え続ける〝中東の地獄絵図〟が現実になる危険性がある。












