フォロワー1000万人超を抱える米カリフォルニア州サンタモニカ在住の活動家で、著名インフルエンサーのマンゲ・キマンビ氏(46)が、IT大手メタが東アフリカ・タンザニア政府の圧力に屈し、自身のSNSアカウントを停止したとして、同社を提訴した。「米国企業が人権より利益を選んだ」と訴えている。米紙ニューヨーク・ポストが8月31日、報じた。

 キマンビ氏はタンザニア出身で、2012年に米国へ移住し、現在は米国籍を持つ。母国の支持者から「国民の姉」と呼ばれる政府批判の急先鋒だ。

 キマンビ氏は昨年のタンザニア大統領選後、インスタグラムやワッツアップを通じ、治安当局による殺害疑惑を告発したほか、平和的な抗議活動への参加を呼びかけた。

 大統領選では、主要な対立候補が立候補を阻まれる中、現職のサミア・スルフ・ハッサン大統領が約98%を得票したとして勝利を宣言。結果に反発する抗議デモが発生し、治安部隊による弾圧で死者が出た。

 訴状によると、キマンビ氏が選挙後の暴力を捉えた画像や動画を公開すると、タンザニアの司法長官が逮捕を公言し、身柄の引き渡しを求めた。しかし、米国籍を持ち、カリフォルニア州に住むキマンビ氏には直接手を出せない。そこで政府はメタに圧力をかけたという。

 メタは昨年11月、キマンビ氏のワッツアップのアカウントを停止し、その後、インスタグラムとフェイスブックのアカウントも停止した。

 同社は、過去に規約違反でアカウントを削除されたユーザーが代替アカウントを作ることを禁じる「再犯ポリシー」への違反が理由だと説明している。

 しかし訴状は、メタ自身が公表した透明性報告書を根拠に反論。タンザニア当局が「平和的な抗議活動への呼びかけ」や政府批判を掲載していた3つのインスタグラム・アカウントへの制限を要求していたと指摘した。報告書には、要求に従わなければ「タンザニア国内でメタのプラットフォームが遮断される」リスクがあったとも記されていた。

 キマンビ氏側は「タンザニア政府はメタに目を向け、政府自身では手に入れられなかったものを手にした」と主張。それはキマンビ氏の「沈黙」だったという。

「米国法が保障する表現の自由の上に築かれた米国企業が、人権、自由、民主主義よりもタンザニアで得る収益を選んだ」と痛烈に批判した。

 36ページに及ぶ訴状で、キマンビ氏は損害賠償を求めていない。外国政府からの圧力がアカウント停止などの判断に影響した場合、その事実と圧力をかけた政府名を開示するよう求めている。

 キマンビ氏はトランプ大統領にも救済を直訴。米下院外交委員会のジョー・ウィルソン議員も今年1月、マーク・ザッカーバーグCEOに書簡を送り、メタが「外国の権威主義政府の執行機関」とならないよう求めた。

 メタは1月にキマンビ氏のワッツアップのアカウントを復活させたが、インスタグラムのアカウントは現在も停止されたままだ。