平将門の首を供養するために建てられたと伝わる「将門塚(まさかどづか、しょうもんづか)」で、〝迷惑系配信者〟が罰当たりな行為に及んだ。収益性の高さで知られるライブ動画配信サービス「Kick」の男性配信者が奇声を上げ、将門塚によじ登ったのだ。将門塚といえば〝たたり〟が有名。どうしてこんなことをしたのか。

 男性配信者は8月19日、東京・大手町の将門塚によじ登る様子をライブ配信した。また、下半身も露出したとされる。一部報道によると、一般社団法人史蹟将門塚保存会の事務局が置かれている神田神社が、丸の内警察署に相談しているという。

 男性配信者が所属していた配信者集団「キッカーズ」は22日、公式サイトで男性配信者を脱退処分にしたと発表した。続けて「8月19日の配信において、大手町の将門塚にて石碑に登るなどの迷惑行為におよびました。その後、神社の管理者より被害届が提出され、礼拝所不敬罪および公然わいせつ罪により在宅起訴となりました」と報告。男性配信者はKickの利用規約違反でアカウントが停止となったとも明かした。

 ただし、在宅起訴などについてはキッカーズ側の発表によるもので、警察や検察からの公式発表は現時点で確認できていない。

将門塚によじ登る男性配信者
将門塚によじ登る男性配信者

 将門の首塚として知られる将門塚は、オフィスビルが林立する東京都千代田区大手町1丁目にある。平安時代中期、朝廷に反旗を翻して「新皇」を名乗った平将門を祭る場所として知られる。

 将門は関東を拠点とする武士で、939年に朝廷に対して反乱を起こし、関東各地の国府を制圧。新皇を称したが、翌940年に討ち取られた。

 伝承によると、将門の首は平安京に運ばれてさらされた。3日目、その首が突然空へ飛び上がり、故郷の関東を目指して飛んでいき、落下した場所が現在の大手町だったという。この首を供養した場所が将門塚になったと伝えられている。

 首が空を飛んだという強烈な伝説を持つだけに、将門塚には〝たたり〟にまつわる都市伝説が数多く残されている。再開発が繰り返されてきた大手町の超一等地に現在も塚が残され、大切に守られていることも、その神秘性を一層高めている。

 そんな場所で男性配信者が迷惑行為に及んだだけに、SNSでは「たたりがあったのか知りたい」「不幸に遭おうとも誰も驚かない」などのコメントが寄せられている。

 男性配信者が利用していたKickは、2022年にスタートしたライブ動画配信サービス。ゲーム実況や雑談、街中から中継する「IRL(イン・リアル・ライフ)配信」などで利用されている。配信者への収益還元率の高さを売りにする一方、過激な内容で視聴者や投げ銭を集める迷惑系配信者が相次いで、問題を起こしてきた。

 日本や韓国で迷惑行為を繰り返した米国人配信者「ジョニー・ソマリ」もKickで活動していた。フィリピンでは米国人配信者ヴィタリー・ズドロヴェツキーが通行人らへの迷惑行為をライブ配信して逮捕された。米国ではジャック・ドハーティーが高級スポーツカーを運転しながらライブ配信中に事故を起こし、KickからBANされた。

 さらにフランスでは2025年8月、「ジャン・ポルマノヴ」の名前で活動していたラファエル・グラヴェンさん(46=当時)が、約300時間に及ぶライブ配信の最中に死亡した。配信ではグラヴェンさんが暴力や屈辱的な行為を受ける様子が流されており、フランス社会に大きな衝撃を与えた。事件をきっかけにKickの安全管理や過激配信をめぐる問題が改めてクローズアップされた。

 収益還元率が高いがゆえに過激化するようだ。