〝日本の至宝〟が覚醒の時を迎える。北中米W杯に臨んだ森保ジャパンは32強で敗退し、無念の帰国となった。2030年W杯では大黒柱の活躍が期待されるMF久保建英(25=レアル・ソシエダード)の恩師で、J1東京Vアカデミーのヘッドオブコーチングを務める元日本代表DF中村忠氏(55)がまな弟子のさらなる進化に言及。現在主戦場とするウイングを卒業し、司令塔として世界トップになることを求めた。

 2度目のW杯で大きな飛躍が期待された久保は、1次リーグ初戦のオランダ戦で左ヒザを負傷。復帰することなく、そのまま今大会を終えた。2022年カタールW杯とともに不完全燃焼という結果について「次もある」と前を向き「未来の話はしたくないが、4年後は最初から最後までプレーできるように」とさらなる活躍を誓った。

 そんな久保の今後について、FC東京の下部組織で指導していた中村氏は「タケフサはもともとトップ下の選手。その適性があると思います。スペインに移籍した後はまだフィジカルが課題だったので、サイドをやることが多かったし、今もクラブ事情で右サイドをやっているけど、体つきもがっしりして当たり負けしないようになったので、10番というかトップ下でも十分にやれます」と強調した。

 一般的に中央のポジションは相手との接触も多いため、ある程度のフィジカル力がないと務められないとされる。そこで中央に比べてプレッシャーの少ないサイドでプレーしているが、中村氏は「あそこまでサイドに適応したのもすごい。かなり練習したのでは。タケフサはウイングとして見ると爆発的なスピードがあるわけではないですからね。もともと司令塔の位置、トップ下が適任なんです。FKも蹴れてゴールも取れる。味方に点を取らせるスルーパスもうまい」と説明した。

 久保はFC東京の下部組織時代、トップ下でプレーする機会が多くゴールを決めるとともに、ラストパスでも相手を翻ろうした。よりゴールに近い位置でこそ久保の真価が発揮されるという。中村氏はベルギー代表MFエデン・アザールやユーゴスラビア代表MFドラガン・ストイコビッチ、フランス代表MFジネディーヌ・ジダンなど世界的なスター選手の名前を挙げて「試合をつくって点も取れる万能型の司令塔ですね。専任すれば、さらにレベルアップできるはず。タケフサもアザールのようになれるんじゃないですか」と指摘した。

 日本代表ではすでに2シャドーの一角として好プレーを見せているが、クラブではチーム事情や他選手との兼ね合いもあって、トップ下を務められる保証はない。それでも久保の潜在能力をフルに発揮するには「10番の位置がベスト」と期待を寄せる。4年後に向けて適正ポジションで再スタートとなるか。