「天使の顔」に、赤いフィラデルフィアの影が忍び寄っている。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は10日(日本時間同日)、フィリーズがエンゼルスのマイク・トラウト外野手(34)を獲得するトレード案をクローズアップ。一見すると荒唐無稽なサプライズプランは、果たしてどこまで具現化しそうな雲行きなのか――。
発端となっているのは、米スポーツ専門メディア「ブリーチャー・レポート」のケリー・ミラー氏が「両球団の複数の関係者によって具現化するかもしれない」として明かした仰天プランだ。トラウトの見返りにゲージ・ウッド投手(22)とジャスティン・クロフォード外野手(22)を差し出すというもので前出の「ON SI」は記事内で同プランに焦点を当てつつ、その深層に切り込んでいる。
なぜ今、トラウトなのか。フィリーズは9日(同10日)現在、36勝31敗でナ・リーグ東地区2位。4年連続でプレーオフに進出してきた常連ながら、今季は打線の迫力不足を抱える。トラウトがハーパー、シュワバーらのラインアップに加われば、5年連続の秋へ向け、確かに相手投手を震え上がらせる破壊力を取り戻す。
そこで浮上するもう一つの線が、ドン・マッティングリー監督代行(65)の存在だ。トムソン前監督の解任後にベンチを預かる同監督代行はドジャース、マーリンズで指揮を執った経験を持ち、他球団とはいえ当時からトラウトの能力と人間性を高く評価し続けていることもあり、その関係性が注目されている。トラウトはニュージャージー州ミルビル出身で、近郊のフィラデルフィアは地元圏。低迷するエンゼルスから、地元の英雄がマッティングリー監督代行の率いる名門へ移る構図は、米メディアでたびたび議論されてきた。本人の心を動かせるかという意味でも、指揮官の存在は隠れた焦点となりそうだ。
対するエンゼルスは同日現在、26勝42敗でア・リーグ西地区最下位。球界屈指のスターを抱えながら勝てない構図は変わっていない。トラウト自身は故障禍を乗り越え、今季も14本塁打を放つなど健在ぶりを示しており、他球団が色めき立つのも当然だ。
ただ、実現への壁は分厚い。トラウトの契約は2030年まで残り、トレード拒否権も持つ。本人の了承なしに話は進まない。アート・モレノオーナーが看板スター放出に否定的だとの見方も根強く、エンゼルス側が残り年俸の相当額を負担する必要もある。若手有望株を得ても、球団の顔を手放す決断は簡単ではない。
それでも、低迷するエンゼルスと勝負を急ぐフィリーズの利害が重なる余地はある。トラウト争奪説は空想で終わるのか、それとも今夏最大級の爆弾となるのか。8月3日午後6時(同4日午前7時)のトレード期限へ向け、天使の英雄の周辺が騒がしくなってきた。












