金脈は、まだ尽きない。米老舗誌「ベースボール・アメリカ」が焦点を当てたのは、今季も圧倒的戦力を誇るドジャースが、7月11、12日(日本時間同12、13日)に米フィラデルフィアで行われる2026年MLBドラフトでも一切手を緩めていない実態だ。大谷翔平投手(31)、山本由伸投手(27)、佐々木朗希投手(24)らを獲得してきた常勝軍団は、補強の舞台をメジャーやNPBだけに限定していない。アマ球界の「次の主役」まで先回りし、王朝の次代を埋める準備を進めている。
一見すれば、強すぎるチームほどドラフトでは不利になる。実際、ドジャースは高額補強を続けた影響でドラフト条件が厳しくなっている。ぜいたく税の上位ラインを越えたことで、本来の1位指名順は10枠後ろへ下がり、さらに他球団から有力FAを獲得した際の補償で指名権も削られた。
その結果、26年ドラフトでドジャースが最初の10巡までに使える指名権は、わずか6つしかない。ザック・フィッツパトリック・アマチュアスカウト部長は15年11月から球団に在籍し、23年ドラフト前に現職へ就いたが、今回の構成は「これまで以上に厳しい」という趣旨で語っている。
それでも、ここがドジャースの怖さだ。手数が少ないからこそ指名ボードの作り込み、他球団の動きを読んだシナリオ設計、限られた巡目で最も価値が跳ねる素材の選別に力を注ぐ。派手な上位指名がなくても、将来の主力候補を取り逃さないための事前シミュレーションを徹底し「残り物を拾う」のではなく「残った中の最適解を奪う」発想で動く。金満球団ではなく、準備で差をつける球団――。その「顔」まで見えてくる。これは限られた指名権で価値を取りにいくという、今回のドジャースの置かれた条件からも自然に見えてくる構図だ。
しかも土台はすでに強い。MLB公式の若手有望株情報サイト「MLB Pipeline」による球界関係者調査では、ドジャースは球界最高のファームシステムと評価され、打者育成、投手育成でも高い支持を集めた。だからこそ大谷、山本、佐々木という外部補強と、アマチュア人材の内製化が一本の線でつながる。いまのドジャースは「勝ちながら補う」だけではない。「勝ちながら次を仕込む」球団だ。
ドラフトまで抜かりなし。その冷徹さこそ、帝国が帝国であり続ける理由と言っていい。












