ブロンクスの空気を、一人で変えてしまった。エンゼルスのマイク・トラウト外野手(34)がヤンキースとの敵地4連戦で改めて示したのは、かつての輝きを取り戻した姿ではない。今なおメジャー屈指、いや史上屈指の打者であるという揺るぎない事実だった。

 米メディア「ヘビー」が焦点を当てたのも、その〝格〟の再証明だ。ブレイディ・アンダーソン打撃コーチ(62)は、歴代OPS上位に並ぶ名前を見れば、ヤンキース往年の名選手ミッキー・マントルやジョー・ディマジオの間にトラウトがいるのは当然だという趣旨の見方も示す。

 16日(日本時間17日)の敵地ヤンキース戦(ヤンキースタジアム)でトラウトは「2番・DH」で先発し、2打数1安打1本塁打、3得点、3四球、1打点。7回に放った446フィート(約136メートル)の特大ソロで、2009年開場の現ヤンキースタジアムではビジター選手史上初となる4試合連続本塁打を達成した。これで敵地4連戦トータルでは5本塁打。ヤンキース相手の1カード5発は史上最多タイで、エンゼルスも11―4で快勝した。

 数字の裏付けもインパクト十分だ。トラウトは現地16日時点で19試合に出場し、69打数17安打、打率2割4分6厘、7本塁打、16打点、18四球、18三振、2盗塁、出塁率4割1分6厘、長打率5割9分4厘、OPS1.010。トラウトの打棒爆発によってチームも10勝10敗の勝率5割にまで数字を戻し、ア・リーグ西地区3位となっている。

 その原動力となっているトラウトの打撃は中身も伴う。今季の三振率は20.2%で、昨季2025年通算の32.0%から大幅に改善。コンタクト率は84.4%、ゾーン内コンタクト率は94.7%まで上がり、それぞれ昨季の72.9%、82.3%を大きく上回った。

 単なる一発量産ではない。見極めと対応力が戻ったからこそ、OPS1.000超の打棒がある。対戦したヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(33)も最敬礼を送ったように全盛期の残像ではなく、史上級の打者がいま再び現在形で暴れている。その迫力はやはり別格だ。