イラン戦争が泥沼化する中、トランプ米大統領は3月31日、戦争終結に合意は必要ないとして、戦争は「2~3週間で終わる可能性が高い」と語った。ホワイトハウスはその後、米東部時間1日午後9時(日本時間2日午前10時)にトランプ氏が国民向け演説を行い、戦況について説明すると発表。果たしてイラン戦争はどうなるのか。

 軍事的には、米・イスラエル軍が優勢だが、イラン側は依然として反撃能力を維持しているという状況だ。しかし、米国はコスト爆増、補給不足、政治的負担増大に悩まされている。

 米国事情通は「車社会の米国では、一般人の移動も物流も車中心。ガソリンの価格が支持率と直結します。ガソリン価格上昇で食料品価格も上昇しているため、トランプの岩盤支持層も一部が離れつつある。長距離精密兵器の巡航ミサイル『トマホーク』の保有数は3992発で、そのうち850発を消費済み。台湾有事や対キューバなどを考えると、これ以上消費できません。また、共に戦っているイスラエル以外の同盟国や湾岸諸国が米国への戦争支援に消極的です。しかもイランによってホルムズ海峡が事実上封鎖され、世界経済の足を引っ張っています」と指摘する。

 自国民だけでなく、世界中の国がトランプ氏に不満を抱いているようなものだ。

 四面楚歌の中、トランプ氏は「近いうちにイランから撤退する」と発言。その理由として「体制変換は起こった」「(高濃縮ウランは)地下深く埋まっていて誰も取り出せない」などと説明した。目的を達成したというわけだ。

 イランによるホルムズ海峡封鎖については、各国は「自力で守る必要がある」。イラン戦争に参加しない英国などを名指しし「自分で石油を確保しろ」「自分で戦う方法を学べ」と突き放し、さらには「NATO(北大西洋条約機構)からの離脱を検討している」とまで言い放った。

 米国事情通は「トランプ氏としては、無責任撤退と思われないよう、パキスタンによる停戦仲介という手も残しています。それがダメなら、〝完全勝利〟演出のため最後に大規模攻撃を行う可能性もあります」と言う。

 いずれにしても、トランプ氏の最近の発言は撤退するための伏線の可能性がある。実際に今後の公式行事や外交日程を考慮すると、イラン戦争の継続は難しい。

 まず、米独立250周年の行事の一環として、英国のチャールズ国王が4月末に訪米することが正式決定している。

 トランプ氏が31日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルに「メラニアと私は、英国の国王陛下および王妃陛下が、4月27日から30日にかけて歴史的な国賓訪問として米合衆国を訪問されることを、ここに喜んで発表します。この訪問には、4月28日夜にホワイトハウスでの盛大な晩餐会も含まれます」と投稿した。

 また、トランプ氏は5月14日から15日にかけて中国を訪問する。

 中東事情通は「米国の大統領を迎えるために、中国は警備などの準備を綿密に行う必要がある。イラン戦争が収まらないと、それもままならない。それに訪中は一度延期しているので、もう延期はできません」と話す。

 もっとも、トランプ氏が発言を二転三転させることは朝飯前で、撤退を発表しても実際に撤退するかどうかはわからない。また、同氏なら公式行事や外交日程にかまわず戦争を続ける可能性もあり、先行きは見通せない。