疑惑の卒業証書は法廷で提出されるのか、それとも永久に葬られるのか――。静岡地検は30日、市議会の調査特別委員会(百条委員会)で虚偽の証言をしたなどとして、有印私文書偽造・同行使と地方自治法違反の罪で、静岡・伊東市の田久保真紀前市長を在宅起訴した。公判が開かれることになり、田久保被告が卒業証書を証拠提出するか否かが焦点となってきた。
田久保被告をめぐっては、昨年5月に市長に就任後、東洋大卒の経歴詐称疑惑が浮上。田久保被告は大学に問い合わせ、除籍されていたことが分かったとして、故意ではないと主張した。さらに卒業証書を持っているとして、市議会の中島弘道議長や青木敬博副議長らにチラ見せしていた。
起訴状によれば、田久保被告は東洋大卒を装うためにネットを通じて業者に作成させた学長と学部長の印鑑を押印するなどして、卒業証書を偽造し、議長らに見せたとされる。また卒業していないことを認識しながらも「除籍の事実を知ったのは6月28日」と百条委で虚偽の証言をしたとされる。
田久保被告は疑惑を取りざたされてから、卒業証書についての説明は変遷している。当初は「どのように手に入れたのか記憶はあいまい。捜査機関に調べていただいて、結果を見ることが真実に近い」と協力姿勢を見せていたが、刑事告訴されたことを受けて「重要な証拠になるので取り扱いは慎重にしたい」と報道陣への公開や捜査機関への提出は拒否に転じた。今回の捜査当局の調べにも田久保被告側は押収拒絶権をタテに表に出していない。
「田久保氏の弁護士が保管しているとされる卒業証書は仮になくなったとしても証拠隠滅罪には問われないが、検察側は東洋大学長印を入手した状況証拠から立証できるとして、起訴に踏み切ったのでしょう。一方で、田久保氏の代理人は公判請求された際には卒業証書の証拠提出に含みを持たせている。卒業証書が本物だとするならば、すべての疑惑をクロからシロに引っ繰り返すことになる」(政界関係者)
田久保被告は議長らにチラ見せしたと報じられたことに「約19・2秒見せた」と反論していたが、捜査当局の任意聴取には、疑惑の核心に答えることはなく、犯罪成立を否定している。
地方自治法による起訴は異例で、有印私文書偽造罪の法定刑は3か月以上5年以下の拘禁刑となる。これまで徹底抗戦してきた田久保被告は法廷でどんな手を打ってくるのか。












