第6回WBCでベスト8進出を逃した台湾を巡る余波が、今度は韓国球界の助っ人外国人まで巻き込む騒動に発展しつつある。

 9日のオーストラリア戦(東京ドーム)に7―2で勝ち、失点率の差で韓国が準々決勝進出を決めた直後、最後の打席で見逃し三振に倒れた文保景(ムン・ボギョン)内野手(25=LGツインズ)に対し、一部の台湾ファンが「故意に三振した」とSNS上で非難を集中。これに真っ向から反論したのが所属するLGツインズの同僚であり、マーリンズ、カージナルス、ジャイアンツでも活躍した元メジャーリーガーのオースティン・ディーン外野手(31)だった。韓国メディアは、韓国人選手以上に怒りをあらわにした助っ人の〝援護射撃〟を大きく報じている。

 韓国は1次ラウンドC組を2勝2敗で終えたが、日本とともに8強入り。公式順位表でも韓国、オーストラリア、台湾がいずれも2勝2敗で並ぶ中、韓国が2位通過となった。韓国にとってオーストラリア戦は「2失点以内、かつ5点差以上」の勝利が必要な綱渡りだったが、7―2で条件を満たした。

 問題視されたのは9回表二死一塁、ボギョンが見逃し三振に終わった最終打席だ。台湾の突破条件は韓国が3失点以上し、加えてオーストラリアから8点以上奪って勝つこと。それもあって台湾国内では、この場面が「8点目を獲りにいかず意図的に三振した〝台湾外し〟」だったかのように受け止められ、一部ファンの感情が一気に噴き出している。

 韓国メディア「エクスポーツニュース」によれば、オースティンはこの騒動を伝えるインスタグラムのコメント欄に自ら「負けを認められない人間になるな。あの状況なら君たちも同じ行動を取っただろう」と投稿。さらに「ムン・ボ、キャプテン・コリアン」と添え、チームメートを公然とかばったという。韓国プロ野球4年目の助っ人が、代表戦後の炎上にまで踏み込んで反論した格好で現地では「韓国人以上に怒りを爆発させた」とまで評され、大きな波紋を呼んでいる。韓国国内のファンの間でも「仲間を守る姿勢が印象的」「LGの空気を象徴する一幕」と好意的に受け止められているのが現状だ。

 オースティンの一言は単なる身内びいきではない。「敗因を外に求めるな」という、ごく当たり前で重い〝クギ刺し〟だった。韓国が東京ドームで残したのは、突破の余韻だけではない。国際大会で熱狂が暴走へ転じた時、その線を誰が引くのか――。そうした難しい問いかけも投げかけた。