エースはリンク内外で大活躍だった。ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート団体フリー(ミラノ・アイススケートアリーナ)が8日(日本時間9日)に行われ、日本は計68点で銀メダルを獲得。金メダルの米国に惜しくも1点差で屈したものの、2大会連続で表彰台を勝ち取った。女子の坂本花織(25=シスメックス)はショートプログラム(SP)、フリーともにトップで10点を奪う大活躍。頼れる女王は、縁の下でもチームを支えていた。
5点差で迎えた団体最終日のフリー。ペアで〝りくりゅう〟こと三浦璃来、木原龍一(ともに木下グループ)組が、今季世界最高で大幅に自己ベスト更新の155・55点でトップ。世界歴代3位となる堂々のパフォーマンスを披露した。
そして女子では、最後に登場した坂本が大観衆を魅了した。安定したジャンプと持ち前の表現力を発揮し、圧巻の148・62点でトップの得点。キスアンドクライで絶叫後、号泣した坂本は「ショートよりは落ち着いた感じだった。あとは自分がやるしかないという気持ちだった」と演技を振り返った。
米国と首位タイで迎えた最後の男子は、佐藤駿(エームサービス・明大)が最高の演技を見せるも、米国の絶対的エース〝4回転の神〟イリア・マリニンに惜しくも及ばず、日本は悲願の初Vを逃した。それでも、米国との激闘は世界中の感動を呼び、日本にとっては誇れる銀メダルだ。
坂本は前回の北京五輪について「自分たちも予期せぬ(銀)メダルだった」と振り返る一方で、今大会は本気で頂点を目指してきた。各自のスキルアップだけでなく、チームワークを深めるためのアイデアも検討。ある日〝りくりゅう〟と「団体戦は特別だけど、普段はみんな練習場所が違うので、なかなか集まる機会がない」と頭を悩ませていたところ、味の素社の高柴瑠衣さんが「決起集会をやりませんか?」と提案して実現に至った。
今大会のフィギュア日本勢はイタリア北西部バレーゼに拠点を置き、練習時間を確保している。同社が日本選手団の食事をサポートしている縁もあり、1日に同地で決起集会を実施することになった。
高柴さんは、坂本らに食べたいものを昨夏の合宿時にアンケート。「イタリアだからティラミスを食べたい」との要望を受け、「まずは自分をねぎらってほしい」との思いを込めた「ごほう美ティラミス」を用意した。主食だけでなく、栄養バランスを配慮した低カロリーのデザートも用意し、つかの間の休息時間を満喫したという。
団体の主将は、アイスダンスで吉田唄菜とカップルを組む森田真沙也(ともに木下アカデミー)が務めた。坂本は後輩を後ろから手助けしつつ、常にチームのことを考えて行動。決起集会では乾杯の音頭を取った。高柴さんは「坂本選手のあいさつで会場が沸いた。『みんな盛り上がる準備はできているかー!』と選手、スタッフ、弊社に声をかけていたし、解散のタイミングでも〝りくりゅう〟らと『みんなで頑張ろうね』と声をかけていた」と明かした。
今季限りで引退する坂本にとっては、最後の団体。金メダルには惜しくも届かなかったが、ムードメーカーの役割も全うした。「個人戦に向けていいモチベーションになると思うし、この結果はみんなにとって素晴らしい経験の一つにもなると思う。これで自信を持って、堂々とみんな帰国できる」。4年間の思いがこもったメダルは、一番の輝きを放っていた。














