日本フィギュアスケート界初の偉業へ、最強ペアが華麗に舞う――。6日開幕のミラノ・コルティナ五輪で、ひときわ注目度が高いのがフィギュアスケートペアで金メダル候補の〝りくりゅう〟こと三浦璃来(24)、木原龍一組(33=ともに木下グループ)だ。日本ペア界の暗黒期を知る木原は、2018年平昌五輪後に引退を考え、アルバイトに励んだ時期も。当時の同僚・飯岡裕輔さんが取材に応じ、カップル結成秘話や、運命の出会いの裏にあったドタバタ劇などを明かした。
平昌五輪後の木原はケガもあり、一般企業への就職も検討。「自分はスケートしかやってこなかったので、ちょっと先々が不安な面もある」との理由から、以前の拠点だった愛知・名古屋市のスポーツ複合施設「邦和みなとスポーツ&カルチャー」で社会勉強の一環としてアルバイトを始めた。
仕事内容はスケート靴の貸し出しやリンクの監視員など、他のアルバイトと同じ業務をこなした。当時からスタッフとして勤務していた飯岡さんは「本当にすごく真面目だったし、分からないことがあればすぐに聞いてきた。当たり前のことだが、お客さまやスタッフへのあいさつだとか、基本を忠実にやってくれるような働きぶりだった」と明かす。
だが、2019年7月に同施設のリンクで行われたトライアウトが木原の人生を変えた。木原と三浦が初めて一緒に滑ったところ、フィーリングはバッチリ。飯岡さんは「龍一に終わった時に『どうだった?』と聞いたら『すごく良かったです』と言っていた」と回想。すぐさまカナダ行きを決断する。だが、飯岡さんには、思わぬ悩みが生じた。
7月の段階で、すでに8月の出勤シフトを組んでいた。飯岡さんは「龍一に『頼りにしてるよ』みたいな感じで伝えていたけど『すみません。ちょっといつ行けるか分かんなくなっちゃいました』と。僕は『やばいやばい』みたいな感じだった」と苦笑いで振り返る。急転直下の展開だったが、日本ペア界にとっても大きな出来事となった。
その後の〝りくりゅう〟の活躍は目覚ましく、木原の地元・愛知で開催されたグランプリ(GP)ファイナルでは3年ぶり2度目の優勝を果たすなど、世界トップクラスのカップルに成長した。ただ、木原の優しい人柄は今も昔も変わらない。
GPファイナルの期間中には忙しい合間を縫って、三浦とともに思い出のリンクを訪問。飯岡さんは「本当に律義で時間があればあいさつに来てくれるし、12月に会った時も最初は『久しぶり』って感じだったけど、その後はいつも通りだった。そこも龍一のすごさだと思う」と感慨深げに語った。
木原にとっては今回が4度目の五輪。過去3大会と比べて、注目度は大幅に上がっている。それでも、飯岡さんは「挑む立場が変わったというのが多くの方の見方だと思うが、私自身は『あんたも年なんだから、ケガせず頑張ってこいよ』ぐらいの感じかな」とニヤリ。〝りくりゅう〟が満開の花を咲かせる瞬間を笑顔で心から願っている。














