MLBのFA市場を巡る〝火種〟が、労使間の緊張を一気に高めている。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が報じたところによれば、MLBのロブ・マンフレッドコミッショナー(67)は、FA契約に期限を設ける構想を改めて正当化。一方で、選手会側はこれを「致命的な誤算」と強くけん制している。
発端はアスレチックスの主砲ブレント・ルーカー外野手(31)が、SNSに投稿した「期限設定は選手にとって最も有害に近い」という一文だった。これに対してマンフレッドコミッショナーは、ラジオ番組で「オフシーズンという静かな時期にファンの関心を引き寄せるマーケティング上の意義がある」と主張。FA市場が長期停滞する現状を踏まえ「期限集中型」によって、話題を生み出す狙いを隠さなかった。
しかし、この構想に真っ向から異を唱えたのがMLB選手会専務理事のトニー・クラーク氏(53)だ。「フリーエージェント(FA)制度は競争が活発であってこそ機能する」とし、期限設定は制度そのものを損なう危険性をはらむと警告。野球人気が再び上向きつつある局面で、あえて摩擦を生むのは「自滅的行為」だと断じた。
さらに大物代理人のスコット・ボラス氏(73)も「期限の本質は競争制限だ」と反発。大型契約が1月後半から春先にかけて成立するのは球団が互いの動きを見極めるためであり、期限を切ることが選手の市場価値を正しく反映させるとは限らないと訴えた。実際、今冬もコディ・ベリンジャー外野手(30)やアレックス・ブレグマン内野手(31)らスター選手が市場に残っており、「停滞」は特定層に限られるとの見方もある。
一方で大手代理人事務所「ワッサーマン」のジョエル・ウルフ氏(55)は、日本のポスティング制度のような「効率性」には一定の可能性を認めつつも「未契約選手を不利にしない仕組み」が見当たらない現実を指摘。理想論と実務の溝は深いようだ。
マンフレッドコミッショナーは「どんなルールでも最終的な金額は変わらない」と強調するが、選手側は納得していない。現行の労使協定は今年の年末に期限を迎える。FA期限制を巡る攻防は次期CBA(労使協定)交渉の象徴的な争点として、今後さらに熱を帯びていきそうだ。










