FA市場の大物一塁手として注目を集めるピート・アロンソ内野手(30=メッツFA)が〝移籍の岐路〟に立たされている。通算264本塁打を誇るメッツ史上屈指のスラッガーは5度のオールスター選出、2年連続のFAという異例の状況も手伝い、今オフ最大級の争奪戦を巻き起こしつつある。

 そんな中、米全国紙「USA TODAY」はアロンソの移籍先予想を特集。最有力候補として真っ先に名前を挙げたのが、現本拠地に近く「NY」でひとくくりにすればライバルと目されるレッドソックスだった。

 レッドソックスは今季、主砲候補トリストン・カサス内野手(25)が長期離脱。急造体制のつなぎ役も含めレ軍一塁手が放った合計の本塁打数は2025年シーズン全体でわずか「16」に留まり、深刻な打力不足に陥った。同記事は「年間30発・100打点を計算できる強打者の補強は急務。その役割を完璧に埋められるのがアロンソだ」と断言。左翼のフェンウェイパークとも〝高相性〟とされ、さらに若手のローマン・アンソニー外野手(21)、マルセロ・メイヤー内野手(22)らにとって「最良の指導者役」になる点も高評価されている。

 とはいえ同記事がアロンソ移籍の最有力候補と目されるレッドソックスの主力メンバー大半に焦点を当てていながらも、吉田正尚外野手(32)の存在に一切触れていない点はやはり日本の観点からすれば気がかりだ。吉田はフィリーズなど他球団へのトレード説が米メディアによって報じられ始めているだけに「USA TODAY」としても、すでに〝構想外〟と判断しているのかもしれない。

メッツの〝象徴〟ピート・アロンソ(ロイター)
メッツの〝象徴〟ピート・アロンソ(ロイター)

 一方でアロンソにはレッドソックスなど他球団移籍ではなく、メッツ残留の可能性ももちろん残されている。アロンソは球団史上最多本塁打の象徴であり、ニューヨークのファンから熱烈に愛されている存在。球団事業部長のデービッド・スターンズ氏も「戻ってくれれば嬉しい」と言葉を濁さず、長期契約交渉が再燃する余地は大いにある。

 また、ヤンキースやレッズといった意外な〝ダークホース〟も候補に挙がる。だがヤンキースは外野補強が最優先、レッズは大型契約に踏み切れるか疑問視されており、前出の「USA TODAY」は「有力だが本命ではない」と分析している。

 最もリスクが高いとされたのは、オリオールズ。本拠地カムデン・パークの球場特性が右打者に極めて不利で「アロンソが打撃成績の低下を懸念して避ける可能性が高い」としている。

 こうした要素を総合した上で、同記事が導き出した結論は「最も合理的で、かつ最も現実味があるのはレッドソックス」と明確だ。

「ポーラー・ベアー」の愛称で老若男女問わずファンから愛され、メッツの顔として歩んできたアロンソは今冬に新たな「巣」を選ぶのか。それともニューヨークの象徴として残るのか。NYのスーパースターを巡るストーブリーグはマンハッタン近郊を起点に、今オフ屈指のビッグトピックとして注目の的となっている。