華やかなスターを意地でねじ伏せた。ボクシングWBC世界バンタム級王座決定戦(24日、トヨタアリーナ東京)で、同級2位・井上拓真(29=大橋)が同級1位の〝神童〟こと那須川天心(27=帝拳)に判定3―0で完勝した。

 必勝を期してセコンドをトレーナーの父・真吾氏だけでなく、世界スーパーバンタム級4団体統一王者で兄の尚弥、いとこの浩樹(ともに大橋)の一族で固めた。序盤は那須川の速さと間合いに主導権を握られたが、3Rから圧力を強め、4Rの公開採点がドローとなると「このまま上げていけばいける」と確信。そこからは先手のパンチをヒットさせ、最大6点差で勝利をものにした。

 前戦でWBA同級王座を失った後は引退も頭をよぎったが、この一戦が決まってからは「踏み台にはならない」と那須川に初黒星をつけることを最大のモチベーションにして、父も「プロになって初めて」と感心するほどの猛練習を積んだ。試合後は「天心選手が相手だったからこそ、ここまで追い込めて仕上げてこれた。本当に強かったし、ありがとうございました」と感謝した。

 那須川の実力を「無敗で来ているだけあって勘もいいし、目がいい。絶妙な距離感で外す。今までにいないタイプ」と評しつつ「これだけの強敵に勝てたことが、練習はうそをつかないと感じました」と満足顔だ。那須川からはリング上で将来のリベンジを告げられ「いずれ上がってくるのは分かっているので、もちろんやります」と歓迎していた。