フィギュアスケート女子で2018年グランプリ(GP)ファイナル覇者の紀平梨花(23=トヨタ自動車)が16日、自身のインスタグラムを更新し、全日本選手権(12月、東京)の予選となる中部選手権(19日開幕、愛知)を欠場すると発表した。シングルでの26年ミラノ・コルティナ五輪出場の可能性は消滅したが、複数の関係者によると引退はしないという。右足首のケガと懸命に戦う不屈のスケーターは、30年にフランス・アルプス地域で開催される五輪へリスタートを切る。

 小学校の卒業文集に「オリンピック(五輪)で優勝」と記したスケーターは、18年平昌五輪は年齢制限で、22年北京五輪は右足首のケガで出場を逃した。ミラノ・コルティナ五輪に向けては「神様は私に強くなるための経験をくれた」と懸命に走り続けるも、ケガは完治しなかった。「高難度のトージャンプを複数回行うと痛みが出ることもある。思い切り練習できないもどかしさや不安がある」と複雑な胸中を明かした。

 今はセーブしながら練習を積んでおり、来季以降の完全復活に目標を切り替えた。現在はカナダ・トロントのクリケットクラブで羽生結弦らを育てたブライアン・オーサー氏に指導を仰いでいる。「引き続き復活に向け、全力で努力してまいります」と力を込めた。

「ミラノ五輪後」を見据える紀平梨花
「ミラノ五輪後」を見据える紀平梨花

 5歳で競技を始めて以降、スケート一筋で歩んできた。だからこそ、ケガに負けるわけにはいかない。かつて取材に対し「スケートを辞めたら私じゃなくなる感じがするし、多くのファンが手紙やSNSで『私のスケートが好き』と言ってくださるのがうれしい。私はスケートを中心に生きてきたので、スケートに対して向き合わないという選択肢はない」と力強く語っていた。

 複数の関係者によると、紀平は5年後まで競技を続ける方針。まずは右足首を完治させた上で、ベストな状態で氷上に立つことを目指しているという。

 ファンの前で滑る以上は、完璧な姿を見せたい。紀平にはスケーターとしての強い信念がある。「見せられる演技は結構自分の中でのハードルがあるんですよ(笑い)。みなさんに見せたいと思える演技を見せないと、絶対にいいものには映らないと思う。そこまでの状態に戻れたら楽しく見てもらえると思うので、早く治したいです」

 5年後は世界ジュニア女王の島田麻央(木下グループ)、中井亜美(TOKIOインカラミ)ら新たな時代のスケーターの活躍が予想される。それでも「納得のいくまで滑り切る」が紀平のテーマ。若手に負けじと、次なる物語を紡いでいく構えだ。