勝ちに不思議の勝ちあり――。セ4位の広島は3日のDeNA戦(マツダ)で2―1と接戦を制した。CS圏内の3位・ベイスターズに競り勝ち、ゲーム差を1とした。

 数字的には、まさに「不思議な現象」で両先発が明暗を分けた。先発の大瀬良大地投手(34)が5回で7四球を与えながらも、1失点で今季7勝目。相手先発の東は今季2度目の完投で8回2失点ながら自責0にもかかわらず敗戦投手になった。東の失点は遊撃・京田の2失策が絡んだもので、広島側から見れば「完敗」と評しても決して過言ではない内容。だが6回以降を継投した赤ヘル救援陣の好投もあり、白星が舞い込んだ。

 それが証拠に試合後の大瀬良も神妙そのもの。「いつも助けてもらってばかりで」と勝ちをつけてくれた救援陣に感謝を述べると「ラッキーが続いた。決してほめられた投球ではなかった」「見苦しいピッチングになってしまっていて(四球)7個は初めて。記憶にない」などと、まるで敗戦投手のようなコメントに終始した。

 とはいえ、この日の東のように好投しながらも勝ち運に恵まれない時期は、どんな先発投手にも起こり得ること。実際に大瀬良も4月は2試合連続で好投しながら2戦連続で打線が無得点に終わるなど、勝ち運に見放されていた時期がある。

 それだけではない。今季21試合の登板において、ドーム球場での先発はわずか3試合。特筆すべきは6月4日のオリックス戦(京セラ)を最後に記録的な酷暑が続く中でも交流戦後の11試合、今夏は全て屋外球場のマウンドに上がり続け、先発陣最年長の体にムチを打ってきたことだ。

 同様に交流戦後、屋外球場での平日カード全試合で先発した後輩左腕・床田は「30歳の僕でさえ、毎回のこの暑さは『キツイな』と思って投げている。だから大瀬良さんは本当にすごい。ウチの先発陣で、僕がオッサンなら(年次的に)大瀬良さんはジジイですから」と指摘。独特な表現で、この夏の全試合を屋外で投げ抜いた先輩に敬意を示す。

 入団時から中国の故事で何事にも動じない闘鶏「木鶏(もっけい)」を信条とし、チーム内でも誰もが認める人格者として名高い右腕。だからこそ大瀬良にとっては、手に入れることができた〝幸運星〟なのかもしれない。