学歴詐称疑惑で揺れる静岡・伊東市の田久保真紀市長が13日、市議会の百条委員会に出席し、事実上のゼロ回答に終始したが、新たなパワーワード「約19・2秒」を披露した。議会のみならず、お盆休み中のお茶の間やネットをかく乱させる〝田久保劇場〟が繰り広げられた。
先月の百条委への出席を拒否していた田久保氏はこの日、一転、証人尋問に出頭した。東洋大卒業の認識や卒業証書の真贋などが問われたが、従来の主張を繰り返し、明確な回答は避け続けた。
一方で、6月に議長や副議長に卒業証書を見せた時間がわずかな〝チラ見せ〟と報じられていることに反論することを出頭した理由の一つに挙げており、百条委では「報道にあるような〝チラ見せ〟といったような事実はなく、私の方で提示をして、約19・2秒見ていただいた」と主張。会話を録音しており、ストップウオッチで計測してのコンマまで刻んだタイムを申告してみせた。
これには議場内も「19・2秒か」とざわつき、中継していたネットやテレビのワイドショーも騒然。「約19・2秒なら約19秒では」と失笑が漏れれば、ウサイン・ボルト氏が持つ200メートル世界最高記録が19・19秒であることから「ボルトに次ぐタイム」「ボルトよりちょっと遅い」と大喜利合戦で盛り上がり、「ゴゴスマ~GOGO!smile~」(TBS系)に出演した古舘伊知郎は「19・2秒の・2秒って…。そこに宿るものがあるのか…」と苦笑いした。
百条委後に取材に応じた田久保氏には報道陣から「19・2秒」の質問が相次ぎ、「19・2秒提示した。『もっときちんと見せてください』『チラ見せでやめてください』といった会話の記録はございません。19・2秒見せた後に議長からは『いいじゃん』というコメントをいただいている」と補強。
「10秒以下だった」と突っ込まれても「どこから計ったかはもし必要ならあとで突き合わせをすべき」と19・2秒にこだわったが、当の議長は「どこからどこまでの範囲になるが、実際に見せてくれたのはチラっと2回」と話し、やはりボルト氏のタイムよりも大幅に短かったようだ。
結局、この日も疑惑の核心につながる卒業証書については「公選法違反で刑事告訴されていて、重要な証拠になるので取り扱いには慎重になる」と公開や提出はかたくなに拒否した。「19・2秒」は論点ずらしでしかないが、まんまと話題の中心となったことで、田久保氏の狙い通りになったともいえる。
とはいえ、田久保氏を取り巻く状況が崖っぷちなのは変わらない。メガソーラーの建設反対を訴え、市長選を制した田久保氏は今回の騒動は推進派による追い落とし工作をにおわせているが、大学を卒業していなかった事実とは別問題で、世論の追い風もない。
議会側は月内にも不信任決議案を提出する方針を固めている。辞職宣言から一転、続投を表明し、徹底抗戦を図る田久保氏だけに失職ではなく、議会解散を選ぶ公算が高い。その後、不信任決議案が再可決されれば、自動失職となって、その後の出直し市長選に出馬することになるのか。それとも風向きが変わる事態となるのか。〝田久保劇場〟はまだまだ続くことになる。












