大西洋を航行していたクルーズ船「MVホンディウス」で、ネズミなどが持つハンタウイルスへの集団感染の疑いが発生し、7日までに3人が死亡した。航行を再開したものの依然、感染経路が不明で、予断を許さない状況が続いている。
乗客、乗員150人を乗せた船はアルゼンチン南部のウスアイアから南極地方を経由し、アフリカ大陸西方の島国カボベルデ沖に停泊。6日から航行を再開し、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島に9日に到着する予定だ。
世界保健機関(WHO)によれば、感染者から確認されたのは、アルゼンチンで流行している「アンデス型」のハンタウイルス。ネズミなどの齧歯(げっし)類が持つウイルスで、人間に感染すると呼吸不全などを引き起こし、致死率は40~50%にもなる。
船内には日本人の乗客1人がいるとみられ、感染は確認されていない。4月11日にオランダ国籍の男性が死亡し、その後に男性の妻、ドイツ人女性が死亡。これまでに感染が疑われる3人は船外に搬送され、2人はオランダに到着したという。ヒトからヒトへの感染はまれとされるが、感染疑いの人も含めると8人に上り、船内で集団感染が発生したとみられる。
クルーズ船での集団感染といえば、2020年の新型コロナウイルスによるダイヤモンド・プリンセス号での集団感染が思い起こされる。
厚生労働省は6日に「ハンタウイルスは、主にネズミ等の排せつ物を介して感染します。媒介動物の有無等の状況から、国内で感染拡大するリスクは低いと考えられます。現地で適切な健康管理が行われており、引き続き関係機関と連携し対応します。国民の皆さまには冷静な対応をお願いします」と発表した。
既に船内に医師が乗り込み、乗客は客室に隔離されているが、先月24日には英領セントヘレナ島で約40人が下船し、各国に移動していて、当局は追跡中だという。
WHOはウイルスの変異は確認されていないとして、一般市民への感染リスクは低いとしているが、公衆衛生学を専門とするエディンバラ大学のデヴィ・スリダー教授はXに「心配すべきかどうかを言うにはまだ早すぎると思います。明らかにこれは悪いニュース」と指摘している。
潜伏期間が1~8週間と長いうえに特効薬やワクチンがないことや下船者が世界中に動いていることなどから「次の数日で、初期のクラスターが封じ込められたのか、それとも2次的な接触者が感染を発症し、それが広がるのかが明らかになる」としばらくは様子を見る必要があると警告している。












