まさかの完敗だ。大相撲名古屋場所10日目(22日、愛知・IGアリーナ)、新横綱大の里(25=二所ノ関)が幕内玉鷲(40=片男波)に屈して歴史的な金星を配給。新横綱ではワーストに並ぶ3個目の金星を与え、優勝争いから大きく後退した。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)は、結びの一番で勝敗を分けたポイントを分析。大の里の課題を指摘した。

 新横綱が大ベテランに屈した。大の里は得意の右差しを封じられ、玉鷲に左を差される苦しい展開。右上手をつかんで強引に前に出ようとしたが、土俵際で突き落とされた。40歳の相手への金星配給は、昭和以降で最年長記録。大の里は取組後の支度部屋で「しっかり残り5日間、集中する。やるべきことをやっていく」と必死に前を向いた。

 まず秀ノ山親方は、横綱を撃破した玉鷲について言及。「玉鷲の体の張り方を見ても、とても40歳とは思えない。大の里と見比べても、全く引けを取らないほど大きく見えた。体を密着させずに自分の距離感を保ちながら、休まずに動いて最後は突き落とし。楽しんで相撲を取っていることが伝わってくるし、そういう時は体も勝手に反応する。本当に若々しい相撲だった」と絶賛した。

 一方の大の里には、仕切りの段階から「違和感」を感じたという。秀ノ山親方は「玉鷲の方が自信を持って土俵に上がっているように見えた。大の里は玉鷲よりも、だいぶ先に手をついていましたよね。横綱なら、相手に〝圧〟を感じさせて先に手をつかせるぐらいでなければ…。玉鷲の雰囲気にのみ込まれたのか、立ち合いの踏み込みも甘く相手に合わせるような相撲になってしまっていた」と指摘する。

 その上で「横綱は結果を残さなければいけない立場なのだから、余計な遠慮はいらない。格下の力士は、横綱を倒すために何でもしてくる。それをはね返すためには、相手の心を折るぐらいの厳しい攻めが必要。相手の出方を警戒して合わせる相撲では、大の里の強みである馬力や圧力を十分に生かせない。もっと〝自分本位〟の相撲でいい」と力説した。

 新横綱で3個の金星配給は、昭和以降でワーストに並ぶ不名誉記録。首位とは2差に広がり、3連覇と新横綱Vに黄信号が点灯した。さらに、大の里を巡っては気になるデータもある。十両昇進以降の12場所で、10日目は4勝8敗。15日間では唯一の〝負け越し〟となっている。

 秀ノ山親方は「10日目というのは疲れがたまってくる時期で、集中力も切れやすい。体のケアやオンとオフの切り替えも含めて、15日間の過ごし方を見直すことが必要かもしれない」と指摘した。果たして、新横綱はV戦線にとどまることができるのか。残り5日間で真価が問われることになりそうだ。