独走か、混戦か――。大相撲夏場所3日目(12日、東京・両国国技館)、大関霧島(30=音羽山)が幕内藤ノ川(21=伊勢ノ海)を寄り切って初日から3連勝。2年ぶりとなる大関の地位で、好スタートを切った。今場所は2横綱1大関が不在の非常事態。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)は霧島の相撲内容を分析した上で、看板力士としての〝任務完遂〟に期待した。

 霧島が初日から3連勝。大関に復帰した場所で、最高のスタートを切った。藤ノ川をつかまえて前に出ると、相手の左足が土俵を割った。ここで審判の手が挙がらずに勝負が続行するハプニングが発生。それでも霧島は手を緩めず、最後は力強い投げで転がした。決まり手は当初「上手投げ」とアナウンスされたが、その後に「寄り切り」に訂正された。

 取組後の霧島は「いい流れで体が動いてくれた。勝って調子に乗らないように。しっかりやることをやっていきたい」とうなずいた。この日の相撲内容について、秀ノ山親方は「うるさい相手の藤ノ川に対して、しっかりと前に圧力をかけながら相撲を取っていた。攻防の中で相手に力を出させないように動きを封じ込めながら、ジワジワと自分の形に持っていく。霧島の持ち味が出た相撲だった」と分析する。

霧島(左)に寄られた藤ノ川の左足は、すでにが土俵から出ていた…
霧島(左)に寄られた藤ノ川の左足は、すでにが土俵から出ていた…

 その上で「霧島は先場所の優勝や大関復帰で満足せず、春巡業や今場所の番付発表後も精力的に稽古をしていたと聞く。準備の段階から、今場所にかける強い思いを感じる。稽古に裏打ちされた自信が、この3日間の相撲に表れているのでは」と指摘した。

 今場所は横綱大の里(二所ノ関)が左肩、大関安青錦(安治川)が左足のケガで初日から休場。横綱豊昇龍(立浪)も初日に右太もも裏を痛めて2日目から離脱した。秀ノ山親方は、2横綱1大関が不在の非常事態も霧島に好影響をもたらすとみる。

「出場している力士の中で最高位の重圧がある半面、責任感も増しているはず。次の番付(横綱)を目指す上でもプラスになる。横綱がいない場所は混戦模様になりがちだけど、霧島らしい相撲を取り切って大関としての強さを示してもらいたい」と期待を寄せた。

 看板力士が先頭を走り続けて責務を果たすのか、それとも平幕力士が優勝争いに加わる大混戦となるのか。大関の地位に返り咲いた霧島にとっては、いきなり真価が問われる場所となりそうだ。