権威失墜だ。大相撲名古屋場所5日目(17日、愛知・IGアリーナ)、横綱豊昇龍(26=立浪)が「左第1趾MTP関節捻挫、左第1中足骨骨挫傷で1か月間の安静加療を要する」との診断書を提出して休場した。新横綱から3場所で合計8個の金星を配給し、そのうち2場所で途中休場。角界内では横綱昇進そのものが「時期尚早だった」との声も上がっている。

 豊昇龍が早くも土俵から姿を消した。前日4日目に幕内阿炎(錣山)に屈し、平成以降で9度目となる3日連続の金星配給。新横綱から3場所で合計8個は、1998年の3代目若乃花以来となる多さだ。そして、早くも2度目の戦線離脱。15日間の皆勤は先場所の1度しか果たせていない。

 師匠の立浪親方(元小結旭豊)によると、場所前の稽古で左足の親指付近を負傷。3日目の幕内安青錦(安治川)に敗れた相撲で、悪化させたという。同親方は「本人が『触っても痛い』と。症状を聞いて、私がやめた方がいいと言った」と説明。「ファン、協会に迷惑をかけている。次こそ優勝争いをできるように。次は必ず万全で出したい」と話した。

 ただ、ふがいなさが目立つ豊昇龍には、親方衆から厳しい目が向けられている。ベテラン親方は「やはり、豊昇龍を横綱に上げたのは時期尚早だった。あの時の判断は間違っていたと思う」と断言。元審判の別の親方も「新横綱なら『しょうがない』で許される部分もあるが、これからはそうならない。結果が出なければ、周りの見る目もどんどん厳しくなる」と指摘した。

 豊昇龍は初場所、12勝3敗の成績で優勝して横綱昇進を果たした。ただ、この場所で平幕に3敗していることや連続優勝ではないことなどから、審判部内で慎重論が噴出。意見がまとまらず、最終的には判断を一任された高田川審判部長(元関脇安芸乃島)が昇進を決断した経緯がある。かたや、新横綱大の里(25=二所ノ関)は2場所連続優勝を達成。審判部も文字通り「満場一致」で横綱推薦を決めた。

 こうしたことから、豊昇龍は横綱昇進当初から〝逆風〟を受けやすい立場にあったことは確か。今のところ、周囲からの批判を結果で封じ込めることはできていない。果たして、豊昇龍が一人前の横綱として認められる日はやってくるのか。横綱として初優勝を果たすまでは、厳しい状況が続くことになりそうだ。