現職議員もダマされた。全国で警察官を名乗る詐欺が急増している中、埼玉・上尾市の佐藤恵理子(えりい)市議(39)がまんまと詐欺団のエジキとなってしまった。佐藤氏が犯人の口車に乗せられた巧妙な手口の一部始終を明かした。
愛知県警の警察官を名乗る男から佐藤氏のスマートフォンに連絡があったのは7日夕方のこと。着信番号は警察を偽装した末尾「0110」ではなく、一般の携帯番号からだった。「詐欺事件での情報を知りたいということで最初は捜査協力のお願いでした」
LINEのビデオ通話への移行を促されると、画面には警察の制服を着た男が現れた。警察手帳を示したうえで、「佐藤さんの楽天銀行のカードが不正利用されていた。容疑者は佐藤さんから銀行カードを400万円で買い取ったと供述している」と切り出し、佐藤氏に犯罪収益隠匿罪での逮捕状と凍結捜査差押許可状の書類画像が送られてきた。
警察官を名乗る詐欺事件が横行していることは佐藤氏も把握していたが、男が出してきた愛知や楽天のワードに引っかかった。
「選挙関係で名古屋に知人がいたことや以前に楽天証券に申し込んで、そのまま折り返しがなかったことがあって、その時の銀行口座を利用されてしまったのかと。逮捕状まで見せられ、パニックになったというわけではなく、私が容疑者として確定していないということだったので、身の潔白を証明できればいいと思った」
男は「愛知まで来るのは大変ですよね。特別に愛知まで来なくても口座の情報を確認できる人がいる」と別の警察官に代わったという。ビデオ画面はオフになり、佐藤氏は不審に思いつつも新たに出現した別の男の言うがままに電話越しでの捜査〝協力〟に応じてしまったという。
「警察官からは『仮想通貨も含めて、持っている口座や振り込み上限額をすべて教えてください』と言われ、隠した場合は『隠匿罪』に当たるのでウソをつかないでくださいと。そのうちに容疑者とやりとりをしていなければ、エラーになるので、試しに振り込んでくださいと口座番号を伝えられ、30万円を振り込んだんです。エラーが出ることはなく、そのまま振り込まれ、これはおかしいとその時に完全に思った。警察に確認させてくださいと伝えたら、『本部の北沢に連絡してください』『週明けにまだ残りの口座も調べる』ということで通話は切れました」
直後に佐藤氏は地元の警察に相談したところ、詐欺の可能性が高いということで、改めて被害に遭ったことを実感したという。すると翌日に今度は末尾「0110」で再び愛知県警を名乗る同じ男から着信があった。
「前日とは態度が変わって、横柄な感じで今度は『300万円振り込んでくださいよ。全部ばらしますよ』と脅してきました。『昨日は警察のコスプレで、今日はちゃんとした詐欺師ですね』と言ったら、電話は切れました」
男が送ってきた逮捕状には、公開していない佐藤氏の自宅住所が記されていた。職業は地方公務員の市議と分かったうえでの大胆不敵な犯行でもあった。
佐藤氏はこう反省する。「警察の番号から電話がかかってきてもすぐに出ないことですね。今は番号をネットで検索すれば、営業や悪質な番号かどうかも分かりますし、警察がおカネを振り込むみたいな話になったら詐欺だと気づいてほしい」
警察庁は「警察がSNSで連絡することはない。警察手帳や逮捕状の画像を送ることはない」と注意喚起しているが、同様の手口での詐欺被害は全国で後を絶たない。













