明治安田J1リーグは、今季開幕から2か月が過ぎ下馬評とは異なる展開を見せている。過去のパワハラ行為から金明輝監督(43)就任が波紋を広げた福岡が、一時はクラブ史上初となる首位に立つなど驚異の躍進を見せている。その一方で、降格経験のない名門・横浜Mがまさかの最下位に沈む。元日本代表MF前園真聖氏(51=本紙評論家)が、波乱の〝要因〟に迫った。

 福岡がJ1で旋風を巻き起こしている。開幕3連敗スタートから、その後は7戦無敗(6勝1分け)と破竹の快進撃で首位に。20日の清水戦では敵地で1―3と完敗を喫して5位に後退したとはいえ、首位・京都とは勝ち点わずか2差だ。

 ここまでの展開は、オフの〝ザワつき〟を考えれば予想外と言っていい。昨年12月に、昨季まで町田のヘッドコーチを務めていた金監督が就任。すると、鳥栖での指導者時代に選手およびチームスタッフに対し、暴力行為や暴言によるパワーハラスメントを繰り返していた過去から、一部サポーターが反対声明。スポンサーにも影響が出る事態となった。

 今季のJリーグで主役となりつつある福岡について、前園氏は「皆さんが予想していたところではなかった気がしますし、監督が就任するにあたっていろいろありました。にもかかわらず、いまのところは素晴らしい成績。積極的な守備でボールを奪って、そこからゴールに直結するような縦に速いサッカーを徹底している印象です。ビッグクラブとは違って、戦力というところでは少し劣るかもしれませんが、そこでカバーできていると思います」と指摘した。

 金監督が目指すサッカーが明確なぶん、選手が迷いなくプレーできるのも躍進の一因というわけ。鳥栖の監督時代も限られた戦力にもかかわらず、2019年には途中就任で低迷からJ1残留に導き、21年は7位に食い込む。町田ではヘッドコーチとして黒田剛監督を支え、23年のJ2優勝、24年はJ1初昇格で3位という結果を残した。

 このまま〝春の珍事〟では終わらないのか。上位での争いに向けて前園氏は「いまのところやり方が徹底されていますが、これから研究されるでしょうし、前節(20日)には清水に負けています。相手のポゼッションによって、やろうとしていたことが、かいくぐられました。対策を超えていけるか注目していきたいです」。今後は、より金監督の手腕が問われそうだ。

 一方、逆の意味で衝撃なのが横浜M。20日の浦和戦に1―3で敗れて最下位へ転落した。このままではクラブ史上初のJ2降格もちらついてくるが…。前園氏は「戦力的にここにいるチームではありません。攻撃陣に強力なブラジル人選手もいますし、監督が代わっていい方向に向かっていくのかなと思っています」と反撃に期待を寄せる。

 J1は史上まれに見る混戦模様で下位チームの巻き返しも十分可能。これからどんなサプライズが待っているのか。