【橘高淳 審眼(27)】私が一軍の球審として試合に出場し始めた頃、やはり選手のレベルの違いというものを目の当たりにしました。二軍選手だってれっきとしたプロ野球選手であり、アマチュア球界でプレーすれば目立つ存在であることは事実なのですが…。
特に二塁塁審を務めていた時に思ったのは、二遊間の選手のプレーの速さです。併殺時にはセカンドゴロを二塁手が捕球して二塁に送球。そこへ遊撃手が走り込んできて捕球するなり、右足のスパイクで二塁ベースの角を蹴って一塁に転送する「4―6―3」のダブルプレーは見せ場の一つでもあります。
「6―4―3」のダブルプレーもそうですね。二塁手は体を逆に向けてピボットターンして一塁へ素早く送球します。その一連の動きのスピードが二軍と一軍とでは差が歴然としていると感じたものです。
私が一軍審判として出場し始めた頃に活躍していた遊撃手は、ヤクルトの池山隆寛選手や巨人・川相昌弘選手でした。二塁手からの送球をグラブで捕球したと同時に二塁ベースを蹴って一塁に転送。この動きの連動がとてつもなくスムーズで速い上に確実なんです。
特に池山くんは身長180センチを超える当時では珍しい大型ショート。見とれている場合ではないんですが、これぞプロ野球というプレーを間近で目撃できたことは審判冥利に尽きます。川相くんのショートも速くて確実で本当に見事でした。
コンビネーションでいえば、1998年に日本一になった横浜ベイスターズの二遊間が見事でした。遊撃手・石井琢朗選手、二塁手はロバート・ローズ選手です。さらに三塁手・進藤達哉選手の名前も出しておきたいですね。この内野陣の「5―4―3」「6―4―3」のゲッツーはとにかく速かった。進藤、石井の両氏の動きと送球が速くて確実な上にローズの強肩。一塁の駒田徳広くんがまた大きくて器用なので、投げやすかったんでしょうね。非常に安定したプレーを見せてもらいました。
マシンガン打線と大魔神・佐々木投手の活躍で日本一になった印象が大きいですが、こうした堅実な守備も結果を残した大きな要因だったはずです。
85年のタイガースだってそうです。「ニューダイナマイト打線」といわれた真弓明信さん、ランディ・バースさん、掛布雅之さん、岡田彰布さんの打棒が印象的でしたが守備もすごかった。岡田さんと平田勝男さんの二遊間も見事でした。平田さんの守備は抜群で岡田さんの肩がめっぽう強い。
現在、私は審判として一軍の超一流のプレーを間近で見ることはできませんが、カープの菊池涼介くん、矢野雅哉くんの二遊間も見事ですね。
私が若手審判だった当時、一軍の超一流のプレーに目が慣れておらず、池山くんや川相くんのプレーに目を見張ったわけですが、人間の慣れというのも怖いものです。慣れてしまえば、その超一流のプレーが普通になってしまうんですから。
私が若手審判員から中堅、ベテランと経験を積んでいく中で、その時代ごとに素晴らしいプレーヤーが存在しました。レベルの高い選手たちが真剣にプレーし、審判員にも高いレベルのジャッジが求められます。次回以降は、私が経験してきたさまざまな局面についてお話をさせていただきたいと思います。












