NHK党の立花孝志党首(57)が一命を取りとめた理由は――。千葉県知事選での選挙活動中に立花氏が14日に財務省前でナタで襲われた事件は、あと数センチずれていたら、脳天や頸動脈を直撃し、命を落としてもおかしくない事態だった。立花氏の生死を分けたポイントを当日、現場を取材していた記者が検証した。
立花氏は16日、自身のYouTubeで傷痕を公開した。左側頭部、耳、首を切りつけられ、当初は皮膚移植も検討された。全治1か月の重傷で、振り下ろされたナタの刃先はスーツやネクタイにも達していた。
凶行の場となったのは、東京・霞が関の財務省向かいにある経産省前の歩道。財務省周辺では「財務省解体」を叫ぶ、複数団体のデモが行われ、混沌としていた中、立花氏は午後5時からの街頭演説会に約5分遅れで到着した。100人近い聴衆を前に「せっかくお越しいただいたので、しゃべるよりも皆さんと写真撮影を先にしたい。その後、あまり大きくならない音で演説させていただく。主催者に迷惑をかけたくない」と演説を後回しにしたことが、不幸中の幸いだった。
「通常、演説を先に行ってから撮影会を行います。先に撮影会をするのはまれ。向かいでつばさの党の黒川敦彦代表が演説会を開いていて、立花の演説前には『一緒にやろう』と誘ってきたが断っていた。隣ではちょうど脱原発の集会も始まったこともあって、周辺はザワついていたため、演説を後にしたのでしょう」(NHK党関係者)
殺人未遂で逮捕された宮西詩音容疑者(30)は、柄の部分を滑り止めで布を巻いた刃渡り約16センチのナタと閃光手りゅう弾を使用し、入念な準備をしていた。フラッシュバンと呼ばれる閃光手りゅう弾は「スイッチを起動させてから1秒後に8000ルーメンのストロボライトに100デシベルの甲高いアラート音を響かせ、相手をひるませる」(同一製品の説明文)。
閃光手りゅう弾を上着の左ポケットに忍ばせ、握手するフリをして、作動させると、右手で持っていたナタを振り下ろした。「犯人の左手の方から明るいものと音があった」(立花氏)
しかし、この時間帯はまだ明るく、閃光手りゅう弾のLEDライトは効果がなく、アラート音だけがけたたましく鳴り響いた。通常通りの演説会後の撮影会だったら日没で暗くなり、閃光手りゅう弾で視界を奪われ、棒立ちとなり、ナタの攻撃を受けていた可能性が高い。
撮影会開始からわずか2分後に犯行に踏み切った宮西容疑者は、目くらましに失敗しただけでなく「急所の頭をめがけて振り下ろしたが、緊張して狙えていなかった」と供述している。第1撃を立花氏が首を傾け、直撃を避けられただけでなく、大きくステップバックしていた。両手を振りかざしての第2撃に出ていたが、距離を詰められなかったことで、周囲にいたボランティアや一般人に取り押さえられた。
迅速な医療対応を受けられたことでも救われた。安倍晋三元首相は病院に救急搬送されるまで約50分を要した。立花氏は襲撃された直後、自ら救急車を要請し、約10分後には到着していた。応急処置を受けた後、約3キロ離れた病院に搬送された。救急車がすぐに来なかったり、受け入れ先の病院が見つからずにたらい回しされ、治療が遅れて亡くなるケースが多々あり、都内でも問題となっている。
「すぐに医療サービスが受けられる、日本は本当にいい国! 救急隊、ドクター、ナース、警察の皆さんに感謝です」と立花氏は医療従事者に感謝するばかりだった。













