米国は3日、ウクライナへの全ての軍事支援を停止した。2月28日の米ウクライナ首脳会談が口論になり交渉決裂したのが引き金だ。さらにゼレンスキー大統領が2日、ロシアとの戦争の終結は「とても遠い」と発言したことにもトランプ大統領は激怒しており、情勢はますます混沌としている――。

 トランプ大統領は3日、SNSトゥルース・ソーシャルに「この男は平和を望んでいない」と投稿し、数時間後にウクライナへの軍事支援の撤回を決断した。

 トランプ政権の高官は米FOXニュースに「これは援助の永久的な打ち切りではなく、一時停止だ」と明かしている。ゼレンスキー氏に圧力をかける狙いが強いのだろうが、トランプ氏だけにゼレンスキー氏が折れなければ、停止は長く続くかもしれない。

 米国はバイデン政権下でウクライナに650億ドル(約9兆6382億円)以上の軍事支援を約束していた。米国務省によれば、1月20日時点で、米国は2022年2月のロシアの侵攻以来、659億ドルの軍事援助を行っている。トランプ氏はウクライナへの新たな支援を承認していないが、バイデン政権下で約束された武器は、依然として提供が続いている。

 ロシア事情通は「米国が提供しているのは、防空装備、銃、弾薬、ミサイル、レーザー誘導ロケットシステム、航空監視レーダー、ヘリコプター、爆弾発射装置、砲弾、戦車、装甲車、ボートなど。ウクライナの軍事力の3分の1を米国が提供しています。ウクライナ軍の柱となっているだけに、戦況を変えかねません」と指摘する。

 ロシア紙コムソモリスカヤ・プラウダの戦争特派員アレクサンダー・コッツ氏によれば「ウクライナには古い備蓄で6か月から1年持ちこたえる時間がある」という。

 しかし、実際は米国の援助がなければ数か月以内に崩壊する可能性がある。

 前出の事情通は「少数のウクライナ軍が多数のロシア軍とやり合えているのは、イーロン・マスク氏のスペースXのスターリンク衛星インターネットシステムを全面的に利用した、ピンポイントのドローン攻撃が大きいです。マスク氏はトランプ氏とまるで親子のような関係になっています。トランプ氏の意向でスターリンクを止められるとウクライナ軍には大きな痛手となります。また、米国の諜報活動も大きな役割を果たしています」と語る。

 また、米国の支援が停止すれば、ウクライナ軍がロシアの弾道ミサイルを撃墜できる唯一の兵器である米国のパトリオット防空システムを使用する能力に影響が出ることになる。

「ウクライナが春を迎えるにつれ、ロシアは温暖な気候を利用して、攻勢をかけるでしょう。ウクライナ崩壊を阻止するためにもウクライナ内部、そして米国やNATOもゼレンスキー氏の排除に動く可能性もある」と同事情通は話している。